「2007年タイ王國憲法」

(現在有効な憲法は2017年憲法だが内容は殆ど同じ)

2017年タイ憲法(英語)

 

日本貿易振興機構(ジェトロ) バンコクセンター編

* https://www.jetro.go.jp/ext_images/world/asia/th/business/regulations/pdf/general_1_2007

 

  • 2007年タイ王國憲法
  • 第一章 総則

第一条(國の不可分性)

タイ國は一体、不可分の王國である。

 

第二条(統治制度の原則)

タイ國は國王を元首とする民主主義制度統治をとる。

 

第三条(主権)

主権は全タイ人に属する。元首である國王は本憲法の規定に基づき國会、内閣及び裁判所を通じてその主権を行使する。

國会、内閣、裁判所、さらには憲法に基づく機関及び國の機関は法の原則に従わなければならない。

 

第四条(人の尊厳・権利・自由の保護)

人間としての尊厳、人の権利、自由及び平等性は保護される。

 

第五条(平等)

タイ國民はその出生、性別もしくは宗教の如何によらず本憲法の保護を平等に受ける。

 

第六条(最高法としての憲法)

憲法は國の最高法であり、本憲法に抵触もしくは相反する法律、規則もしくは規約は施行することはできない。

 

第七条(統治原則への準拠)

いずれかの場合に本憲法に適用すべき規定がない時においては、國王を元首とする民主主義制度の統治慣習に従って判断する。

 

第二章 國王

第八条(國王の不可侵性)

國王は崇敬される地位にあられ、なにびとも侵すことはできない。

いずれかの方法において國王を訴追する、もしくは訴えることは、なにびとであってもこれをなすことはできない。

 

第九条(國王と宗教)

國王は佛教徒であらせられ、宗教の擁護者であられる。

 

第一〇条(國王の軍統帥権)

國王はタイ國軍の大元帥の地位にあらせられる。

 

第一一条(國王の叙勲権)

國王は位階及び勲章を下賜する王権を有せられる。

 

第一二条(枢密院)

國王は適格者から枢密院議長一人及び一八人以下の他の枢密顧問官を選任し、枢密院を構成せられる。

枢密院は國王が下問する全ての王事について國王に提言する任務及び本憲法の規定に基づく他の任務を有する。

 

第一三条(枢密顧問官の任命)

枢密顧問官の選任もしくは解任は王意に従う。

國会議長は枢密院議長の任命もしくは解任の勅命に副署する。

枢密院議長は他の枢密顧問官の任命もしくは解任の勅命に副署する。

 

第一四条(枢密顧問官の兼職禁止)

枢密顧問官は衆議院議員、参議院議員、選挙委員、國会オンブズマン、國家人権委員、憲法裁判所判事、行政裁判所判事、國家汚職防止取締委員、会計検査委員、常勤もしくは有月給の公務員、國営企業職員、國の他の職員、もしくは政党の党員、職員であってはならず、いかなる政党の支持も表明してはならない。

 

第一五条(枢密顧問官の宣誓)

枢密顧問官は就任前に以下の言句の宣誓を國王に対してなさなければならない。

「私(宣誓者氏名)は國王に忠誠を尽くし、國と國民のために誠実に任務を遂行し、あらゆる点においてタイ王國憲法を擁護し、遵守することを誓います」

 

第一六条(枢密顧問官の退任)

枢密顧問官は死亡、辞任もしくは國王の解任の勅命により退任する。第一七条(侍従・侍従武官長の任命)

侍従及び侍従武官長の任命及び解任は國王の意思に従う。

 

第一八条(摂政)

國王が王國内に不在の時、もしくは何らかの事由により王務をなし得ない時は、摂政一人を任命し、國会議長はその勅命に副署する。

 

第一九条(摂政の國会承認)

國王が第一八条に基づく摂政を任命しない場合、もしくは國王が未成年である、あるいは他の 事由により摂政を任命できない場合は、枢密院が摂政に就任すべき者一人の氏名を國会に提出し、その承認を求める。國会が承認した時、國会議長は國王の名においてその者を摂政に任命することを公示する。

衆議院の任期が満了している、もしくは解散している間は参議院が第一段に基づく承認について國会としての任務を遂行する。

 

第二〇条(枢密院議長の摂政代行)

第一八条もしくは第一九条が規定したところに基づく摂政がいない間は、枢密院議長が暫定的に摂政を務める。

第一八条もしくは第一九条に基づき任命された摂政が任務を遂行できない場合は、枢密院議長が暫定的に摂政の任務を代行する。

第一段に基づき枢密院議長が暫定摂政を務める間、もしくは第二段に基づき枢密院議長が暫定 的に摂政の任務を代行する間、枢密院議長は枢密院議長としての任務を遂行することはできない。その場合、枢密院は枢密顧問官一人を暫定的に枢密院議長代行に選出する。

 

第二一条(摂政の宣誓)

「第一八条もしくは第一九条に基づき任命された摂政は就任前に以下の言句の宣誓を國会でなさなければならない。

「私(宣誓者名)は國王(國王名)に忠誠を尽くし、國と國民のために誠実に任務を遂行し、あらゆる点においてタイ王國憲法を擁護し、遵守することを誓います」

衆議院の任期が満了している、もしくは解散している間は参議院が本条に基づく國会としての任務を遂行する。

 

第二二条(王位継承と王室典範の改正)

第二三条の適用下において、王位の継承は佛暦二四六七年王室典範の王位継承に係る規定に従う。

王位継承に係る佛暦二四六七年王室典範の改定増補は國王のみの権限とする。國王が何らかの意見を示された時、枢密院は王室典範の改定増補案を起草し、國王の裁可を求めるために奏上する。國王が承認し、署名した時、枢密院議長は國会議長に通知し、國会議長は國会に通知するとともに勅命に副署する。王室典範の改定増補は官報で公示した時に法律として施行することができる。

衆議院の任期が満了している、もしくは解散している間は、参議院が第一段に基づく了承について國会としての任務を遂行する。

 

第二三条(王位継承者の國会承認)

王位が空位になり、國王が王位継承に係る佛暦二四六七年王室典範に基づき王位継承者を任命していた場合、内閣は國会議長に通知し、國会議長は了承を得るために國会を召集する。國会議長は王位継承者に國王への即位を要請し、國民に公示する。

王位が空位になり、國王が第一段に基づく王位継承者を任命していなかった場合、枢密院は第二二条に基づき王位継承者名を内閣に提出し、内閣は承認を求めるために國会に提出する。その場合、王女の名を提出することもできる。國会が承認した時、國会議長は王位継承者に國王への即位を要請し、國民に公示する。

衆議院の任期が満了している、もしくは解散している間は、参議院が第一段に基づく了承、もしくは第二段に基づく承認について國会としての任務を遂行する。

 

第二四条(王位空位時と摂政)

第二三条に基づき王位継承者への國王への即位要請及び公示がなされていない間、枢密院議長が暫定摂政を務めるが、第一八条もしくは第一九条に基づき摂政が任命されている間、もしくは第二〇条第一段に基づき枢密院議長が摂政を務めている間に王位が空位になった場合は、その摂政が王位継承者への即位要請もしくは王位継承者の即位があるまで引き続き摂政を務める。

第一段に基づき任命され、引き続き任にある摂政が任務を遂行できない場合、枢密院議長が断定的に摂政の任務を代行する。

枢密院議長が第一段に基づき摂政を務める、もしくは第二段に基づき摂政の任務を代行する場合は第二〇条第三段の規定を適用する。

 

第二五条(枢密院議長代行)

枢密院が第一九条もしくは第二三条第三段に基づく任務を遂行しなければならない、もしくは枢密院議長が第二〇条第一段または第二段、あるいは第二四条第二段に基づく任務を遂行しなければならないが、枢密院議長が空席であり、もしくは任務を遂行できない場合、枢密院は枢密院議長の任務を代行させる、もしくは第二〇条第一段または第二段、あるいは第二〇条第三段の任務を遂行させるために枢密顧問官一人を選出する。

 

第三章 タイ人の権利と自由

第一節 総則

 

第二六条(國の権限行使と人権)

國のあらゆる機関による権限の行使においては本憲法の規定に基づく人間としての尊厳、権利及び自由に留意しなければならない。

 

第二七条(権利・自由の保護)

本憲法が明確に、もしくは間接的に保障する、あるいは憲法裁判所の決定により保障する権利及び自由は保護され、あらゆる法律の制定、法律の施行及び法律の解釈において國会、内閣、裁判所及び國の他の機関を直接的に拘束する。

 

第二八条(権利・自由の行使)

他人の権利及び自由を侵害せず、憲法に反せず、もしくは良俗に反しない限りにおいて、人は自己の人間としての尊厳を主張、もしくは権利及び自由を行使することができる。

本憲法が保障する権利もしくは自由を侵害された者は、本憲法の規定をもって裁判権を行使し、もしくは裁判における争点とすることができる。

人は國に本章の規定を遵守させるため直接的に裁判権を行使することができる。権利及び自由の行使において、いずれかの件で本憲法が保障する権利及び自由の行使の詳細を規定する法律があれば、その件における権利及び自由の行使は法律が規定したところに従う。

人は本章の内容に基づく権利の行使において國から振興、支援及び助力を得る権利を有する。

 

第二九条(権利・自由の制限と法)

憲法が保障する人の権利及び自由の制限はこれをなすことはできない。ただし法律の規定に基づく権限に依拠し、本憲法が規定した目的に合致し、必要なだけ制限する場合はその限りではないが、その権利及び自由の本質に影響を及ぼしてはならない。

第一段に基づく法律は一般に適用しなければならず、何らかの場合もしくは何らかの者に限定して適用することはできない上、その法律の制定権限を付与した憲法の規定を示さなければならない。

第一段及び第二段の規定を法律の規定に基づく権限により制定される規則・規定にも準用する。第二節 平等性

第三〇条(人の平等性)

人は法の下において平等であり、等しく法律の保護を受ける。男女は平等な権利を有する。

出生地、民族、言語、性別、年齢、障害、心身の状態、身分、経済もしくは社会的な地位、信仰、教育、もしくは憲法に抵触しない政治信条の違いにより人を不公正に差別することはできない。

人の他人と同様な権利及び自由の行使の振興もしくはその障害除去のために國が講じる措置は、第三段に基づく不公正な差別とはみなさない。

 

第三一条(公務員の権利・自由)

軍人、警察官及び公務員、國の他の職員、國の機関の従業員もしくは被雇用者である者は、政治、能力、規律もしくは倫理に係る部分についてのみ法律もしくは法律の規定に基づく権限により制定される規則・規定により制限される場合を除いて、一般人と同様に憲法に基づく権利及び自由を有する。

 

第三節 個人の権利と自由

 

第三二条(虐待・残虐行為の否定)

人は生命及び身体の権利及び自由を有する。

残酷もしくは非人間的な方法による虐待、残虐行為もしくは処罰はこれをなすことができない。ただし裁判所の判決に基づく、もしくは法律が規定するところに基づく刑罰は本条の規定に基づ く残酷もしくは非人間的な処罰とはみなさない。

裁判所の命令もしくは令状がある、または法律の規定に基づくその他の事由がある場合を除き、逮捕及び拘留をなすことはできない。

法律の規定に基づく事由がある場合を除き、第一段に基づく権利と自由を損なう身体検査もしくは何らかの行為をなすことはできない。

第一段に基づく権利と自由を損なう行為がある場合、被害者、検察官、もしくは被害者に資する他の者はそうした行為を止めるよう、または取り下げるよう命じてもらうために、ならびに相当の方法もしくは生じた被害の治癒を裁判所に訴える権利を有する。

 

第三三条(居住の自由) 人は居住の自由を有する。

人は平穏に住居に居住し、それを占有することを保護される。

裁判所の命令もしくは令状がある、もしくは法律の規定に基づくその他の事由がある場合を除き、占有者の同意なしに住居への立入、もしくは家宅捜索をなすことはできない。

 

第三四条(移動・居住地の自由)

人は王國内において移動する自由及び居住地を選択する自由を有する。

第一段に基づく自由の制限は、國家安全保障、公秩序、國民の福祉、都市計画、もしくは青少年福祉のための法律の規定に基づく権限による場合を除き、これをなすことはできない。

タイ國籍者の國外追放もしくはタイ國籍者の入國禁止はこれをなすことはできない。

 

第三五条(家庭内プライバシーの保護)

人の家庭内の権利、名誉、名声ならびにプライバシーは保護される。

いかなる方法によるかを問わず、人の家庭内の権利、名誉、名声及びプライバシーを侵害する、もしくは損なう著述または映像の公開は、公共の利益のための場合を除き、これをなすことはできない。

人は自己に係る個人情報により不当に利益を追及することから法律の規定に基づき保護を受ける権利を有する。

 

第三六条(通信の自由)

人は合法的な方法により通信する自由を有する。

通信物の検閲、押収もしくは開封及び通信物の内容を察知するためのその他の行為は、國家安全保障、公序良俗の維持のための法律の規定に基づく権限による場合を除き、これをなすことはできない。

 

第三七条(信教の自由)

國民の義務に反せず、公序良俗に反しない時、人は宗教、宗派もしくは宗教上の教義を信仰す  る完全な自由を有し、教理に基づく行為もしくは自己の信仰に基づく儀式をなす自由を有する。第一段に基づく自由の行使において、人は他人と異なる宗教、宗派もしくは宗教上の教義の信  仰、または教理に基づく行為あるいは信仰に基づく儀式をなすことを理由に、國から正当な権利

を制限される、もしくは利益を損なわれることがないよう保護される。

 

第三八条(労働徴用)

労働徴用は、緊急の災害防止に係る法律、もしくは國が戦争または戦闘状態にある間、あるいは非常事態宣言または戒厳令施行中に実施できるとする法律の規定に基づく権限による場合を除き、これをなすことはできない。

 

第四節 司法手続における権利

第三九条(刑事罰)

人はその行為時に適用されている法律により犯罪と規定され、罰則が規定されている違法行為をなした場合を除き、刑事罰を受けることはなく、その者の違法行為時に適用されている法律が規定する刑罰より重い刑罰を科すことはできない。

刑事事件においては被疑者もしくは被告人には罪がないものとまず推定する。有罪判決が確定するまではその者を犯罪者として扱うことはできない。

 

第四〇条(司法手続上の権利)

人は司法手続において以下の権利を有する。

(一)簡単、便利、迅速、あますところなく司法手続にアクセスできる権利。

(二)少なくとも公開で判決を受ける権利、事実関係を知り十分な書類閲覧の権利、自己の事実関係の陳述・反論及び証言の権利、裁判官もしくは判事に対する忌避の権利、裁判官団もしくは判事団による審理を受ける権利、及び決定・判決・命令の事由を知らされる権利の件で基礎的な保障を有していなければならない審理手続における基礎的権利。

(三)人は自己の訴訟において正当、迅速、公正な審理を受ける権利を有する。

(四)訴訟における被害者、被疑者、原告人、被告人、当事者、利害関係者もしくは証人は、司法手続において適正な扱いを受ける権利、ならびに正当、迅速、公正な捜査を受ける権利、及び証言が自己の不利とならない権利を有する。

(五)刑事事件における被害者、被告人及び証人は國から必要かつ相当の保護、助力を受け、法律の規定に従って必要な報酬、補償、費用を受ける権利を有する。

(六)児童、未成年者、女性、高齢者、障害者は訴訟手続において相当の保護を受け、性的暴力に係る訴訟においては相当の扱いを受ける権利を有する。

(七)刑事事件において被疑者もしくは被告は正当、迅速、公正な捜査または訴訟審査を受け、十分な反論機会、証言・証拠の検査と通知、弁護士による訴訟における助力、保釈を得る権利を有する。

(八)民事訴訟において人は國から相当の法律上の支援を受ける権利を有する。第五節 財産権

第四一条(財産権・遺産相続権の保護)

人の財産権は保護される。その権利の範囲及び制限は法律の規定に従う。遺産相続は保護される。相続権は法律の規定に従う。

 

第四二条(不動産収用)

不動産の収用は公共施設、國防上の必要、天然資源の入手、都市計画、環境の質の振興及び保全、農業もしくは工業の開発、土地改革、遺跡及び史跡の保全、またはその他の公共利益のための法律の規定に基づく権限による場合を除き、これをなすことはできず、法律の規定に基づき所有者及びその収用により損害を受ける全ての権利者に相当の期間内に公正な補償金を支払わなければならない。

第一段に基づく補償金は、市場における通常の売買価格、入手方法、状態及び所在地、ならびにその収用による損害、収用される不動産の利用から國及び被収用者が得られる利益を考慮して公正に規定しなければならない。

不動産収用法は収用の目的を明記し、不動産の使用期間を明確に規定しなければならない。規定された当該期間内に、その目的のために使用しなかった不動産は元の所有者もしくはその相続人に返還しなければならない。

第三段に基づく元の所有者もしくはその相続人への不動産の返還及び支払った補償金の返却請求は法律の規定に従う。

 

第六節 職業上の権利と自由

第四三条(職業の自由)

人は営業もしくは職業及び自由で公正な競争の自由を有する。

第一段に基づく権利の制限は、國家安全保障もしくは國家経済、公共事業面での國民保護、公序良俗、職業秩序管理、消費者保護、都市計画、天然資源または環境の保全、國民福祉、もしくは独占防止あるいは競争における不公正是正のための法律の規定に基づく権限による場合を除き、これをなすことはできない。

 

第四四条(労働保障)

人は法律の規定に基づき労働における安全及び福祉の保障、ならびに労働期間中及び退職後の生活保障を受ける権利を有する。

 

第七節 言論・報道の自由

第四五条(言論の自由)

人は言論、演説、著述、印刷、出版及びその他の方法による意思伝達の自由を有する。

第一段に基づく自由の制限は國家安全保障、他人の権利・自由・名誉・名声・家庭内の権利もしくはプライバシーの保護、または公序良俗の維持、あるいは國民の心身の荒廃の防止または阻止のための法律の規定に基づく権限による場合を除き、これをなすことはできない。

本条に基づく自由を剥奪するための新聞もしくは他のマスメディアの閉鎖命令はこれをなすことはできない。

新聞もしくは他のマスメディアにおける報道または言論の全部または一部の禁止、もしくは本条に基づく自由の剥奪のための何らかの方法による干渉は、第二段に基づき制定された法律の規定に基づく権限による場合を除き、これをなすことはできない。

新聞または他のマスメディアの発行前の検閲は、國が戦争状態にある期間に第二段に基づき制定された法律の規定に基づく権限による場合を除き、これをなすことはできない。

新聞もしくはその他のマスメディアの事業主はタイ國籍者でなければならない。

國による民間の新聞もしくはその他のマスメディア事業助成のための資金その他の財産の提供は、これをなすことはできない。

 

第四六条(報道人の自由)

民間の新聞、ラジオ、テレビもしくはその他のマスメディア事業の従業員または被雇用者は、憲法の制限下において報道及び言論の自由を有し、官公庁、國の機関、國営企業もしくはその事業主の命令下に置かれることはないが、職業倫理に抵触してはならず、権利、自由及び公正の保護のために団体を結成する権利、職業団体の自主管理メカニズムを有する

ラジオ、テレビもしくはその他のマスメディア事業における官公庁、國の機関もしくは國営企業の公務員、従業員または被雇用者も、第一段に基づく民間の従業員または被雇用者と同じ自由を有する。

第一段または第二段に基づく者の公共的テーマにおける報道もしくは言論への妨害または干 渉となる政治職者、國の職員もしくは事業主による直接または間接の行為は、法律もしくは職業倫理遵守のための行為である場合を除き、不当な権限行使であるものとみなし、効力を持たない。

 

第四七条(國家資源としての周波数)

ラジオ、テレビ及び通信に使用する周波数は公益のための國の通信資源とする。

第一段に基づく周波数を配分し、ラジオ、テレビ及び通信事業を監督する國の独立機関を一機関設置する。ここに法律の規定に従う。

第二段に基づく任務遂行においては、教育、文化、安全保障及びその他の公益についての國及び地域水準における國民の最大利益ならびに公正な自由競争に留意しなければならず、公共マスメディアの運営において民衆セクターの参加があるようにしなければならない。

第二段に基づく事業監督においては、情報受容の自由に反する、もしくは種々の情報受容を締め出す結果をもたらすマスメディア同士の、もしくはいずれかの他の者による合併または支配を防止するための方策がなければならない。

 

第四八条(政治家の報道・通信事業関与禁止)

政治職者が自己の名で、もしくは他人を代わりに事業主または株主にして、あるいは事業主または株主と同様に直接または間接的に経営できるようなその他の方法により新聞、ラジオ、テレビもしくは通信事業の事業主または株主になってはならない。

 

第八節 教育上の権利と自由

第四九条(教育の権利)

人は國があまねく、かつ良質に整備する一二年以上の基礎教育を平等に受ける権利を有する。貧困者、障害者もしくは困窮者は費用を負担することなく、他人と同等の教育を受けるため國の支援を受けなければならない。

職業または民間機関の教育研修、國民の選択的教育、自己学習及び生涯学習は國から保護及び奨励を受ける。

 

第五〇条(学問の自由) 人は学問の自由を有する。

教育研修、授業、研究及び学術的研究発表は、國民の義務もしくは良俗に反しない限り保護される。

 

第九節 國から保健・福祉サービスを受ける権利

第五一条(保健サービス)

人は相当かつ標準的な保健サービスを平等に受ける権利を有し、貧困者は無料で國の保健サービス施設で医療を受ける権利を有する。

人は國からあまねく、かつ効率的な保健サービスを受ける権利を有する。

人は國から無料かつ迅速な危険伝染病の予防及び阻止を受ける権利を有する。

 

第五二条(児童・青少年の保護)

児童・青少年は、児童・青少年の参加に留意することにより安寧な暮らしにおける権利、環境に応じた能力に基づく心身、知性面での開発を受ける権利を有する。

児童・青少年及び家庭内の者は暴力及び不正な行為から國によって保護される権利、当該事由のあるケースにおけるリハビリテーションを受ける権利を有する。

児童・青少年及び家庭内の者の権利は、家庭の状況もしくはその者の最大利益を保全及び維持するための法律の規定に基づく権限による場合を除き、干渉及び制限することはできない。

保護者のいない児童及び青少年は國より相当の養育及び教育を受ける権利を有する。

 

第五三条(高齢者援助)

満六〇歳を超え、生活に十分な所得のない者は國から相応しい福祉、公共のファシリティ、及び相当の援助を受ける権利を有する。

 

第五四条(障害者援助)

障害者もしくは虚弱者は國からの福祉、公共のファシリティ、及び相当の援助にアクセスし、利用する権利を有する。

精神障害者は國から相当の援助を受ける権利を有する。

 

第五五条(貧困者援助)

住居がなく、十分な所得のない者は國から相当の援助を受ける権利を有する。

 

第一〇節 情報公開及び請求権

第五六条(情報公開原則)

人は官公庁、國の機関、國営企業もしくは地方行政体が占有する公共のデータまたは情報を知る権利を有する。ただしその情報の公開が國家安全保障、國民の安全、もしくは他人の保護されるべき利害、個人情報を損なう場合を除く。ここに法律の規定に従う。

 

第五七条(公共プロジェクト)

人は自己及び地域コミュニティに係る環境の質、健康、生活の質もしくはその他の重大な利害に影響を及ぼすプロジェクトまたは何らかの事業の許可あるいは実施前に、官公庁、國の機関、國営企業もしくは地方行政体から情報、説明及び事由を得る権利、及び当該の件における審査のために関係機関に自己の意見を示す権利を有する。

社会、経済、政治及び文化の開発計画、不動産収用、都市計画、土地利用区域規定、及び國民の重大な利害に影響する規則の制定にあたって、國は実施前に國民から広く意見を聴くプロセスを設ける。

 

第五八条(審査プロセスへの参加)

人は自己の権利と自由に影響を及ぼす、もしくは及ぼすかもしれない行政上の公務執行における國の職員の審査プロセスに参加する権利を有する。

 

第五九条(苦情申立)

人は苦情を申し立て、迅速な期間内に審査結果の通知を受ける権利を有する。

 

第六〇条(國民の國への告訴権)

人が法人である官公庁、政府機関、國営企業、地方行政体もしくは法人である國のその他の機関を、その公務員、従業員もしくは被雇用者の行為または不作為の責任をとらせるため訴える権利を有する。

 

第六一条(消費者保護)

消費者としての人の権利は事実である情報を得ることにおいて保護され、損害の解決救済を受けるために訴える権利、ならびに消費者の権利保護のためグループ化する権利を有する。

消費者保護のための法律及び規則の制定における國の機関の審査プロセスにおいて提言する、ならびに諸措置の規定に係る提言をなし、消費者保護である行為もしくは不作為を検査、報告する任務を果たす消費者代表で構成する独立組織を設置する。ここに、國は当該独立機関の業務に予算支援する。

 

第六二条(政治家・公務員への検査請求権)

人は政治職者及び國の機関、國の職員の任務遂行を追跡し、検査を請求する権利を有する。政治職者、國の機関もしくは國の職員の任務遂行に係る國権行使検査機関または國の機関に対

する善意の情報提供者は保護を受ける。第一一節 集会・結社の自由

第六三条(集会の自由)

人は平穏かつ武器を所持しない集会の自由を有する。

第一段に基づく自由の制限は、公共集会の場合、公共地を使用する國民の便宜を保護するため、もしくは國が戦争状態にある間または非常事態宣言あるいは戒厳令施行中の治安維持のための 法律の規定に基づく権限による場合を除き、これをなすことはできない。

 

第六四条(結社の自由)

人は協会、組合、連盟、協同組合、農民団体、民間団体、民間開発団体もしくはその他の団体を結成する自由を有する。

公務員及び國の職員は一般人と同じ結社の自由を有するが、公務運営の効率性及び公共サービスの継続性に影響を及ぼさないようにしなければならない。ここに法律が規定するところに基づく。

第一段及び第二段に基づく自由の制限は、國民全体の利益の保護、もしくは公序良俗の維持、または経済上の独占防止のための法律の規定に基づく権限による場合を除き、これをなすことはできない。

 

第六五条(政党結成の自由)

人は本憲法が規定する國王を元首とする民主主義制度統治の方法に基づき、國民の政治意思を形成し、その意思に基づく政治活動をなすために政党を結成する自由を有する。

政党の組織、活動及び規則は國王を元首とする民主主義制度の統治基本原則に沿っていなければならない。

政党員である下院議員、政党役員もしくは政党についての本憲法付属法令が規定する人数の政党員が、自己が所属する政党の決議または規則が本憲法に基づく下院議員の地位及び任務に抵触する、あるいは國王を元首とする民主主義制度の統治基本原則に抵触または相反すると判断した場合は、憲法裁判所に裁定を求める権利を有する。

憲法裁判所がその決議もしくは規則が國王を元首とする民主主義制度の統治基本原則に抵触または相反すると裁定した場合は、その決議または規則は廃止となる。

 

第一二節 コミュニティ権

第六六条(住民の文化・環境保護への参加)

コミュニティとしてまとまった人々、地域コミュニティ、もしくは伝統地域コミュニティは、地域及び民族の善良な慣習、伝統的知識、もしくは芸術・文化を保護または復興し、自然資源及び環境、生物多様性の調和的かつ持続的な管理、保護及び利用に参加する権利を有する。

 

第六七条(環境保全への参加権)

自然資源及び生物多様性の保全、ケアと利用、及び自己の健康、福祉または生活の質に危険を及ぼさないよう通常かつ持続的な生活が送れるための環境の質の保護、振興、維持における國及びコミュニティと協力する人の権利は相当の保護を受ける。

環境の質、自然資源及び健康面でコミュニティに重大な影響を及ぼすおそれのあるプロジェクトまたは事業は、これをなすことはできない。ただしその実施前に環境の質への影響の研究及び評価、住民及び利害関係者からの意見聴取プロセスがあり、ならびに環境及び健康面の民間環境団体代表及び環境、自然資源、健康研究の高等教育機関代表からなる独立機関が当該実施前に提言した場合はその限りではない。

法人である官公庁、國の機関、國営企業、地方行政体もしくは國のその他の機関に本条規定に基づく任務を遂行させるため訴えるコミュニティの権利は保護される。

 

第一三節 憲法擁護権

第六八条(クーデタ告発権)

人は本憲法に基づく國王を元首とする民主主義制度統治の転覆、もしくは本憲法が規定する方法に拠らない國の統治権の奪取のために、本憲法に基づく権利及び自由を行使することはできない。

いずれかの者もしくは政党が第一段に基づく行為をなした場合、その行為を知った者は検察庁総長に告発し、憲法裁判所にその行為の中止命令を申し立てる権利を有する。ただしその申立は当該行為者の刑事訴訟には影響しない。

憲法裁判所が第二段に基づきいずれかの政党に行為の中止を命じた場合、憲法裁判所は当該政党の解散を命じることができる。

憲法裁判所が第三段に基づく解散を命じた場合、解散命令を受けた政党の第一段に基づく違法行為をなした時点における党首及び執行委員の選挙権を憲法裁判所の当該命令があった日から五年間剥奪する。

 

第六九条(クーデタへの抵抗権)

人は、本憲法が規定する方法によらない國の統治権の奪取につながる行為に対し、平和的な方法をもって抵抗する権利を有する。

 

第四章 タイ人の義務

第七〇条(國・統治制度の護持)

人は本憲法に基づき國家、宗教、國王及び國王を元首とする民主主義制度統治を護持する義務を有する。

 

第七一条(國防・國益擁護・法律遵守)

人は國家防衛、國益擁護及び法律遵守の義務を有する。

 

第七二条(選挙権行使)

人は選挙権を行使する義務を有する。

権利を行使した者、もしくは相当の事由を届け出ることなく権利を行使しなかった者は、法律の規定に基づき権利を得る、もしくは権利を失う。

投票に行けない事由の届け出及び投票の便宜は法律の規定に従う。

 

第七三条(その他義務)

人は法律の規定に基づき兵役に就き、公共災害の防止及び鎮静において支援し、納税し、公務を援助し、教育を受け、國の芸術・文化および地域の伝統技能を保護管理・擁護・継承し、自然資源及び環境を保全する義務を有する。ここに法律が規定するところに従う。

 

第七四条(公務員の義務と政治的中立性)

官公庁、國の機関、國営企業の公務員、従業員、被雇用者もしくは國のその他の職員は、公共の利益の維持、及びグッドガバナンス原則に基づく國民への便宜・サービスの提供のために法律に従う義務を有する。

公務及び國民に係る他の職務の遂行において、第一段に基づく者は政治的中立を守らなければならない。

第一段に基づく者が第一段もしくは第二段に基づく義務を怠った、もしくは履行しなかった場合、利害関係者は第一段に基づく者、もしくはその上司に事由説明を要求し、第一段もしくは第二段の規定を遵守させるよう要求する権利を有する。

 

第五章 國の基本政策指針第一節 総則

第七五条(施政方針と報告)

本章の規定は國会での施政方針演説において施政にあたっての法律制定及び政策策定の意図を示すものであり、國政を担う内閣は國会に対して、いずれかの期間におけるいずれかの実施について本章が規定する國の基本政策指針に従った國政のためになすことを明確に説明しなければならず、一年に一度、業績ならびにその問題及び障害に係る報告書を作成し、國会に提出しなければならない。

 

第七六条(施政計画)

内閣は國の基本政策指針に一致した毎年の施政の方向性における措置及び詳細を示すため施政計画を策定しなければならない。

施政において内閣は施政方針及び施政計画の実施に必要な法律の制定計画を策定しなければならない。

 

第二節 國家安全保障

第七七条(王制・独立・領土・軍の護持)

國は王制、独立、主権及び領土の保全を護持しなければならず、独立、主権、安全保障、王制、國益及び國王を元首とする民主主義制度統治を護持し、國を開発するために軍事力、武器、及び必要かつ十分な最新技術を保持しなければならない。

 

第三節 施政面の政策指針

 

第七八条(施政指針)

國は以下のように施政面での政策指針に基づき施政にあたらなければならない。

(一)施政は持続可能な社会、経済および國家安全保障の開発のためになされるものでなくてはならず、充足経済哲学に基づく実践を振興し、総合的な國益を重視しなければならない。

(二)國家開発に適合した明確な範囲、権限義務及び責任を有する中央行政、地方行政及び地域行政制度を設け、県が住民の利益のために県開発計画及び予算を有するよう支援する。実施予算は当該計画に従ったものとし、県は住民の利益のために地方行政体を監督する。

(三)地方行政体に権限を分散することで自立させ、自ら地域事業を決定させるとともに、地方行政体が國の基本政策指針に基づく実践、地域経済開発、地域の公共施設、全國を網羅する均等な情報インフラストラクチャー構築に参加するよう促進する。準備のできている県については住民の意思に留意しながら大規模な地方行政体に発展させる。

(四)國の職員の質、道徳及び倫理の開発を重視し、かつ行政を効率的なものとするための業務の形態及び方法の改革と対とすることにより國の業務制度を開発し、國の機関を公務の方向性としての良き基準となるよう振興する。

(五)公共サービス設定及び提供のための公務及びその他の國の業務制度は、國民参加に留意して、迅速で、効率性を有し、透明、検査可能なものとしなければならない。

(六)施政を法原則に従うものとするため、法律に基づく國の業務に係る提言義務、國の法律制定の検査義務を有する法的機関は独立したものとする。

(七)政治開発計画を策定し、当該計画の厳守を追跡・監視するため独立性を有する政治開発会議を設置する。

(八)公務員及び國の職員が相応の特典を得られるようにする。第四節 宗教・社会・教育・文化

第七九条(宗教の擁護)

國は大部分のタイ人が長く信仰してきた佛教及び他の宗教を擁護し、あらゆる宗教の教徒間の理解および和合を促進するとともに、宗教の原理に基づく道徳の確立及び生活の質の開発を支援しなければならない。

 

第八〇条(社会・教育・文化)

國は以下のように社会・教育・文化面の政策指針に基づき施政にあたらなければならない。

(一)児童及び青少年の保護及び開発、幼年者の養育支援、幼年教育提供、男女の平等促進、家族及びコミュニティの結束の促進及び開発、ならびに高齢者、貧困者、障害者もしくは虚弱者、及び困窮者の生活改善及び自立のために、援助及び福祉を供与しなければならない。

(二)國民の持続的な安寧をもたらす健康増進を促進、支援及び開発し、國民が標準的であまねく、かつ効率的な保健サービスを受けられるよう管理及び促進し、健康開発及び保健サービスにおいて民間及びコミュニティが参加するよう促す。職業標準及び倫理に従い任務を遂行する当該サービス提供義務者は法律に基づき保護を受ける。

(三)経済・社会の変化に即した教育の質及び標準を開発し、國家教育計画、國の教育開発のための法律を制定し、國際社会の変化に追いつけるように教職者・教育者の質を開発するとともに、学習者にタイ人意識、公共心を植え付け、國王を元首とする民主主義制度統治を保持させる。

(四)地方行政体、コミュニティ、宗教機関及び民間が、國の基本政策指針に合致した教育の 標準及び質の均等な開発のために教育提供に参加するよう教育提供の権限分散を促進、支援する。

(五)諸学問分野における研究を促進、支援し、國から研究費の支援を受けた研究結果を公開する。

(六)団結する心、民族固有の芸術文化及び風俗習慣、善き価値観及び伝統知の学習、意識、公開を促進・支援する。

 

第五節 法律・司法

第八一条(法律・司法面の指針)

國は以下のように法律及び司法面での政策指針に基づき施政にあたらなければならない。

(一)正しく、迅速、公正で、あまねく法律に従った執行及び指揮、國民に対する法律上の支援、知識の提供促進があるように監督し、國民及び職業団体が司法プロセスに参加、國民への法律上の援助により司法プロセスにおける公務及びその他の國の業務制度を効率化する。

(二)國の職員及びその他の者による侵害から人の権利と自由を保護し、全國民が平等に公正な扱いを受けなければならない。

(三)國の法律を改革及び開発するため、ならびに法律により影響を受ける者からの意見聴取により法律を憲法に従ったものにする法律改革のため、独立した法律改革機関を設置する法律があるようにする。

(四)司法プロセスに関係する機関の業務を支援・開発するため、独立した司法プロセス改革機関を設置する法律があるようにする。

(五)被害者、特に家庭内暴力の被害者に対しての法律上の援助を提供する民間組織の業務を支援する。

 

第六節 外交

第八二条(外交)

國は諸外國との友好及び協力関係を促進し、互恵主義の原則を維持し、タイ國が加盟する人権面の条約を遵守するとともに、諸外國及び國際機関と取り交わした國際義務を果たさなければならない。

國は諸外國との貿易、投資及び観光を促進し、在外タイ人の利益を保護しなければならない。

 

第七節 経済

第八三条(充足経済哲学)

國は充足経済哲学の指針に基づく行動があるよう促進、支援する。

 

第八四条(経済政策指針)

國は以下のように経済面での政策指針に基づき施政にあたらなければならない。

(一)市場原理に基づく自由経済制度を支援するとともに、持続的な経済開発があるように支援し、経済上の必要性に合致しない事業規制の法規を廃止及び回避しなければならず、國家安全保障、全体の利益保全もしくは公共サービスの整備の必要がある場合を除き、民間と競合する事業を営んではならない。

(二)事業運営と対になる道徳、倫理及びグッドガバナンスの原則を用いるよう支援する。

(三)國の経済・社会の安定および保障を支えるため金融財政規律を維持する。徴税制度を公正で経済・社会情勢の変化に即したものに変革する。

(四)國民及び國の職員に老後の生活のための貯蓄があまねくあるようにする。

(五)事業における自由で公正な競争があるよう監督し、直接的・間接的独占を防止し、消費者を保護する。

(六)経済開発のために公正な所得分配、國民の就労機会の保護、振興、拡大を推進し、製品製造、サービス及び就業に用いるため地域の伝統知及びタイの伝統知の開発を促進、支援する。

(七)労働年齢者の就労、児童労働者及び女性労働者の保護を促進し、労働関係制度及び労働者が自己の代表を選ぶ権利を有する三者協議制度の整備、社会保障制度の整備、ならびに労働者が同等の価値を有し、公平な報酬・福利を得られるよう保護しなければならない。

(八)生産及びマーケティングにおける農民の利益を保護、維持し、農産物が最大報酬をもたらすよう促進し、ならびに農業計画策定及び共同利益確保のため農民会議の形で農民の集団化を促進する。

(九)独立した協同組合制度、職業もしくは専門職の集団化、ならびに國民の経済活動における集団化を振興、支援かつ保護する。

(一〇)國の経済安全保障のため國民の生活に必要な基本インフラストラクチャーを整備し、國民の生活に必要な基本インフラストラクチャーが民間の支配下に置かれ、國に損害をもたらさないようにしなければならない。

(一一)國民の生活に必要な、もしくは國家安全保障のための國の基本インフラストラクチャー事業の基本構造もしくはネットワークが民間の所有となる、または國が五一%未満の所有者となるような活動はこれをなすことはできない。

(一二)商業海運、軌道輸送、國内及び國際運送運営管理システムに基づく活動を促進、支援する。

(一三)國家レベル、地域レベル双方の民間経済団体の強化を促進、支援する。

(一四)経済付加価値を生むために農産物加工産業を振興する。第八節 土地・天然資源・環境

第八五条(土地・資源・環境政策指針)

國は以下のように土地・天然資源・環境面での政策指針に基づき施政にあたらなければならない。

(一)その土地の自然環境状況、地域コミュニティの生活様式に留意して全國の陸地面、水面を含めた土地利用原則を定め、効率的な自然資源の保全を監督し、その土地利用政策により影響を受ける住民に決定に参加させて持続的な利用基準を定めることにより、当該環境に合致した総合國土計画を策定する。

(二)土地改革もしくは他の方法により、農民が農業を営むため土地所有権または土地の権利を有するよう推進し、農民が十分かつ農業に適した水を利用できるよう水源を確保する。

(三)國土計画を策定し、持続的な自然資源の保全監督のために効率的で生産的な國土計画に基づき開発、推進する。

(四)システマチックかつ全体利益を生む水資源その他の自然資源の管理、利用計画を整備し、調和的な天然資源及び生物多様性の保全、改善及び利用に國民を参加させなければならない。

(五)持続可能な開発の原則に基づき環境の質を振興、保全、保護し、住民、地域コミュニティ及び地方行政体が活動指針の策定に参加することで國民の健康衛生、福祉及び生活の質に影響を及ぼす公害を制御、駆除する。

 

第九節 科学・知的財産・エネルギー

第八六条(科学・知財政策指針)

國は以下のように科学・知的財産・エネルギー面での政策指針に基づき施政にあたらなければならない。

(一)特別法を整備し、研究を支援する予算を設け、研究・開発機関を設置し、研究・開発結果の利用を促し、効率的な技術移転制度及び望ましい人的開発制度を整備し、最新の科学・技術面の知識を公開し、國民が生活において科学の原理を利用するよう支援することにより、諸方面で科学、技術及びイノベーションの開発があるよう振興する。

(二)発明もしくは発見を振興し、地域の伝統知及びタイの伝統知を維持・開発し、知的財産を保護する。

(三)自然から得られ、環境にやさしい、持続可能な代替エネルギーの制度的研究、開発及び利用を振興、支援する。

 

第一〇節 國民参加

 第八七条(國民参加政策指針)

國は以下のように國民参加面での政策指針に基づき施政にあたらなければならない。

(一)地域レベル、國レベル双方での経済開発政策及び計画の策定に國民が参加することを促進する。

(二)政治決定、経済・社会開発計画の策定、ならびに公共サービス整備において國民参加を促進、支援する。

(三)様々な職業団体の形もしくはその他の形において、全レベルでの國家権力行使の検査で國民参加があるように促進、支援する。

(四)國民が政治面で強固となるよう促進し、コミュニティの公共活動を援助するための民間セクター政治開発基金を設置する法律を制定し、その土地のコミュニティの意見を表明し、必要性を提言できるようなあらゆる形のネットワークの形態で集まった國民グループの行動を支援する。

(五)國民に政治開発及び國王を元首とする民主主義制度統治に係る学習を振興、提供し、國民が誠実かつ公正に選挙権を行使するように奨励する。

本条に基づく國民参加においては男女の比率が近づくよう留意しなければならない。

 

第六章 國会

第一節 総則

第八八条(國会両院)

國会は衆議院及び参議院からなる。

國会の会議の両院合同もしくは各院分離は本憲法の規定に従う。人は同時に参議院議員及び衆議院議員を兼ねることはできない。

 

第八九条(國会議長)

衆議院議長を國会議長とし、参議院議長を國会副議長とする。

衆議院議長が空席の場合、もしくは衆議院議長が不在または國会議長としての任務を果たせない場合は、参議院議長が國会議長の任務を代行する。

國会議長は本憲法の規定に基づく職務権限を有し、両院合同会議において規則に基づき國会運営をなす。

國会議長及び國会議長代行は職務遂行において中立を保たなければならない。國会副議長は本憲法の規定及び國会議長の委任に基づく職務権限を有する。

 

第九〇条(法令の施行と國会)

憲法付属法令案及び法令案は國会の助言と承認によってのみ法律として制定することができ、國王が署名なされた時、もしくは本憲法に基づき國王署名があったとみなされる時、法律として施行するために官報に公示する。

 

第九一条(議員資格失効の申立)

それぞれの議員総数の一〇分の一以上の衆議院議員もしくは参議院議員は連名で、自己が所属する議会の議長に対して、その議会のいずれかの議員の資格が第一〇六条(三)(四)(五)(六)

(七)(八)(一〇)または(一一)、もしくは第一一九条(三)(四)(五)(七)または(八)に基づき喪失したことを申し立てる権利を有する。申立を受けた議会の議長は、その議員の資格が喪失したか否かを裁定するために、その申立を憲法裁判所に送付する。

憲法裁判所が裁定を下した時、憲法裁判所はその裁定を第一段に基づく申立を受けた議会の議長に通知する。

選挙委員会が衆議院もしくは参議院のいずれかの議員に第一段に基づく議員資格喪失の事由があると判断した場合、その者が属する議会の議長に送り、その議長は第一段及び第二段に基づく裁定のために憲法裁判所に送付する。

 

第九二条(議員資格喪失者の報酬返還)

資格喪失もしくは憲法裁判所による議員資格喪失裁定後の衆議院議員または参議院議員の退任は、退任前もしくはその議員が属する議会の議長が憲法裁判所の裁定通知を受け取る前に、その議員が議員の職務としてなした活動、または受け取った職位給、あるいはその他の報酬に影響しない。ただし衆議院議員選挙及び参議院議員選定についての憲法付属法令により不正に選出されたとの事由で退任する場合は、その者が当該職位ゆえに受け取った職位給及びその他の報酬を返還する。

 

第二節 衆議院

 第九三条(構成)

衆議院は選挙区選出の四〇〇人及び比例代表選出の八〇人の合計四八〇人の議員で構成する。衆議院議員選挙においては直接投票及び秘密投票の方法を使用し、投票用紙は各一枚ずつ使用

する。

衆議院議員選挙の原則及び方法は衆議院議員選挙及び参議院議員選出についての憲法付属法令に従う。

何らかの事由により衆議院議員の空席があり、まだ補欠選挙が実施されていない場合、衆議院は現有する衆議院議員で構成する。

第一〇九条(二)の規定下に、衆議院の任期途中において比例代表制で選出された議員が八〇人に満たない事由がある場合、比例代表で選出された議員は現有議員で構成する。

何らかの事由により総選挙で選出された衆議院議員が四八〇人に達しない場合、衆議院議員総数の九五%以上であれば、その議員数で衆議院を構成するものとみなす。ただし一八〇日以内に本憲法の規定に基づく定数に達するようにしなければならない。後に選出された衆議院議員の任期は衆議院の残り任期と同じとする。

 

第九四条(選挙区方式の選挙方法)

選挙区方式の衆議院議員の選挙において、いずれかの選挙区の選挙権者はその選挙区の議席数だけ立候補者に投票する権利を有する。

各選挙区の議席数計算と選挙区の区割りは以下のようにこれをなす。

(一)選挙の実施年より前の年に発表された最新の住民登録数に基づく全國民数を四〇〇人の衆議院議員数に均等させ、議員一人当たりの人口を割り出す。

(二)人口が(一)に基づく議員一人当たりの人口に満たない県は議員数を一人とする。議員一人当たり人口を上回る人口を有する県であれば、議員一人当たり人口に達するごとに議員数を一人加算する。

(三)(二)に基づき各県の議員数が得られた時、その合計数が四〇〇人に満たなければ、(二)に基づく算出から得られる余り数が最も多い県に議員数一人を加え、以下同様に四〇〇人に達するまで余り数が次に多い県に順々に割り振っていく。

(四)選挙区の区割りは、議員数が三人以下の県は県域を選挙区とし、議員数が三人を超える県は各選挙区の議員数が三人になるように県域を選挙区に分ける。

(五)一つの県の選挙区分割で各区に三人の議員数を割り振れない場合、議員数が三人の選挙区をまず設置する。ただし残りの区は一区につき二人以上でなければならない。四人の議員数を有する県であれば一区につき二人の選挙区を二区設置する。

(六)複数の選挙区を有する県では選挙区域がつながっていなければならず、各区の人口数は近似していなければならない。

票数は投票所で集計し、その投票所の集計結果は総計のために選挙区で集められ、選挙委員会の 規定に基づきその選挙区内の一ヶ所で公開により集計結果が告示される。ただしその土地に必要 な事情があれば、選挙委員会は別段の集計結果の総計及び集計結果の告示を定めることもできる。ここに衆議院議員選挙及び参議院議員選出についての憲法付属法令の規定に従う。

 

第九五条(比例代表方式の選挙方法)

比例代表方式の衆議院議員選挙においては、政党が作成した名簿に基づき選挙する。選挙区内の選挙権者はその選挙区で立候補者名簿を作成した政党に一票を投じる権利を有する。

一政党は比例代表候補を全選挙区で擁立することも、一部選挙区で擁立することもできる。政党の比例代表候補者名簿の提出後、投票日の前もしくは当日に、その政党の名簿の比例代表

候補者が提出した数に達しない事由が生じた場合、それがどんな事情であっても、その政党の名簿が現有候補者数しかないものとみなし、この場合には衆議院は現有議員で構成されるものとみなす。

 

第九六条(比例代表区の区割り)

比例代表方式の衆議院議員選挙区は以下のように規定する。

(一)全土を八つの県グループに分け、それぞれの県グループを選挙区とし、各選挙区が一〇人の議員数を有するようにする。

(二)県グループの設置において、隣接した県を一つの県グループにし、全グループは選挙の実施年より前の年に発表された最新の住民登録数に基づく全國民数をもとに近似した人口数を有していなければならない。ここに一つの県はその県域全部が同じ選挙内にあるものとする。

 

第九七条(比例名簿の作成方法)

比例代表方式の衆議院議員選挙のための政党の立候補者名簿は以下のように作成する。

(一)各選挙区の立候補者名簿は各選挙区の議員数と同数の立候補者名を有していなければならず、番号順に並べなければならない。選挙委員会への提出は選挙区方式の衆議院議員選挙の立候補者届け出日の前に提出する。

(二)(一)に基づく名簿においては、いずれの政党であるかを問わず、選挙区方式と比例代表方式の双方の立候補者と名が重複してはならず、男女間の機会、適正な割合、平等性に配慮しなければならない。

 

第九八条(比例算出方法)

各選挙区において選出される各政党の名簿に基づく立候補者の比例算出においては、各政党の選出を受ける者の人数配分のために、その選挙区での各政党の得票数をまず合計し、その選挙区の議席数で割った比例基準値を算出する。各政党名簿内の立候補者は、各政党の得票数に従い、比例基準値に基づきその政党の名簿内の順位にそって選出される。ここに衆議院議員選挙及び参議院議員選出についての憲法付属法令で規定した原則及び方法に従う。

第九四条第三段の規定を比例代表方式の衆議院議員選挙の票集計に準用する。ここに選挙委員会はまず県における仮集計を定めることもできる。

 

第九九条(選挙権者の資格)

以下の資格を有する者を選挙権者とする。

(一)タイ國籍を有する。ただし國籍変更によりタイ國籍を有している者はタイ國籍を取得してから五年以上経っていなければならない。

(二)選挙実施年の一月一日に満一八歳以上である。かつ

(三)投票日まで九〇日以上にわたり選挙区にある住民登録書に氏名が記載されている。

自己が住民登録している第九二条(一)に基づく選挙区外に居住している、もしくは選挙区にある住民登録書に氏名が記載されてから投票日まで九〇日に達しない、あるいは國外に居住地を有する選挙権者も選挙で投票する権利を有する。ここに衆議院議員選挙及び参議院議員選出についての憲法付属法令が定めた原則、方法及び要件に従う。

 

第一〇〇条(選挙権行使禁止者)

選挙投票日に以下の様態にある者は選挙権の行使を禁じる。

(一)僧侶、沙彌、修行者もしくは出家者。

(二)選挙権取消中の者。

(三)裁判所の令状もしくは法的な命令により拘禁中の者。

(四)心神喪失者もしくは心神耗弱者。

 

第一〇一条(立候補資格)

以下の資格を有する者を衆議院議員の被選挙権者とする。

(一)出生によるタイ國籍を有する。

(二)投票日に満二五歳以上である。

(三)選挙投票日まで九〇日以上継続して、いずれか一つの政党の党員である。ただし衆議院解散による総選挙である場合は、投票日まで三〇日以上継続して、いずれか一つの政党の党員でなければならない。

(四)選挙区方式の選挙の立候補者は、以下のいずれかの様態を有していなければならない。

(a)立候補届け出日まで五年以上継続して立候補する県の住民登録書に氏名が記載されている。

(b)立候補する県で出生した者である。

(c)立候補する県に所在する教育機関で五教育年以上継続して教育を受けたことがある。

(d)立候補する県で五年以上継続して公務についたことがある、もしくは住民登録書に氏名が記載されていたことがある。

(五)衆議院議員選挙及び参議院議員選出についての憲法付属法令が規定したところに基づくその他の資格。

 

第一〇二条(立候補禁止者)

以下の様態にある者は衆議院議員選挙において被選挙権の行使を禁じる。

(一)刑罰を受ける薬物の中毒者である。

(二)破産者である、もしくは悪意の破産者だったことがある。

(三)第一〇〇条(一)(二)または(四)に基づき選挙権の行使を禁止される様態にある者である。

(四)禁固判決を受けている、もしくは裁判所の令状により拘禁中である。

(五)過失罪もしくは軽犯罪の場合を除き、禁固判決を受けたことがあり、投票日までに刑期終了から五年が経過していない。

(六)背任もしくは公務上の不正または規律違反の容疑で國の機関または國営企業から免職、解任または解雇されたことがある。

(七)異常な富裕もしくは蓄財を事由に裁判所の判決もしくは命令により財産を國庫に没収されたことがある。

(八)政治職公務員以外の職位もしくは月給を有する公務員である。

(九)地方議会議員あるいは地方行政者である。

(一〇)参議院議員である。もしくは参議院議員だったことがあり、議員資格喪失から二年以内である。

(一一)官公庁、國の機関もしくは國営企業の職員または被雇用者、あるいは國のその他の職員である。

(一二)憲法裁判所判事、選挙委員、國会オンブズマン、國家汚職防止取締委員、國家会計委員、もしくは國家人権委員である。

(一三)第二六三条に基づく政治職への就任禁止期間中である。

(一四)第二七四条に基づき参議院から罷免決議を受けたことがある。

 

第一〇三条(候補者擁立数)

選挙区における選挙に立候補者を擁立する政党は、その選挙区が有する衆議院議席数だけ立候補者を擁立することができ、当該議席数を超えて擁立することはできない。

政党が第一段に基づく数だけ立候補者を擁立した後に、どんな事由であっても、当該数を下回ることになったとしても、その政党は当該議席数の立候補者を擁立したものとみなす。

政党が立候補者を擁立し立候補させた後に、その政党もしくはその政党の立候補者は立候補を取り消す、あるいは立候補者を変更することはできない。

 

第一〇四条(任期・政党の合併規制)

衆議院の任期は選挙投票日から一期四年とする。

衆議院の任期中に衆議院議員を擁する政党が合併することはできない。

 

 

第一〇五条(議員資格発効日)

衆議院議員の議員資格は選挙投票日から始まる。

 

第一〇六条(議員資格の喪失)

衆議院議員の議員資格は以下の時に喪失する。

(一)衆議院の任期が満了した、もしくは衆議院が解散した。

(二)死亡した。

(三)辞職した。

(四)第一〇一条に基づく資格を失った。

(五)第一〇二条に基づく禁止様態にある。

(六)第二六五条または第二六六条に基づく禁止行為をなした。

(七)自己が所属する政党から離党した、もしくは自己が所属する政党が党執行委員とその政党の衆議院議員の合同会議において四分の三以上の票数をもって除名を決議した。その場合、離党もしくは政党決議のあった日に議員資格を喪失したものとみなす。ただし、その衆議院議員が政党決議から三〇日以内に憲法裁判所に対して、その決議が第六五条第三段に該当すると異議を申し立てた場合、憲法裁判所がその決議は第六五条第三段に該当しないと裁定した時は、議員資格は憲法裁判所の裁定日に喪失したものとみなすが、憲法裁判所がその決議は第六五条第三段に該当すると裁定した時は、その衆議院議員は憲法裁判所の裁定日から三〇日以内に他の政党に入党することができる。

(八)憲法裁判所がその衆議院議員の所属する政党の解散を命令したことにより党員資格を失い、憲法裁判所の命令日から六〇日以内に他の政党に入党しなかった場合、六〇日が経過した翌日から議員資格を喪失したものとみなす。

(九)参議院が第二七四条に基づき罷免決議をなした、もしくは憲法裁判所が第九一条に基づき議員資格喪失の裁定をなした。この場合は参議院もしくは憲法裁判所の決議または裁定があった日に議員資格を失ったものとみなす。

(一〇)衆議院議長の許可なくして一二〇日以上と定められた会期の四分の一を超える日数、会議を欠席した。

(一一)過失罪もしくは軽犯罪による場合を除き、確定判決で禁固刑を受けた。このとき刑執行猶予の有無を問わない。

 

第一〇七条(衆議院任期満了と総選挙)

衆議院の任期が満了した時、國王は総選挙で新たに衆議院議員を選挙するため勅令により衆議院の任期満了日から四五日以内に衆議院議員を選出する総選挙を規定し、その投票日は全國で同日でなければならない。

 

第一〇八条(衆議院解散と総選挙)

國王は新たに衆議院議員を選挙するために衆議院を解散する権限を有する。

衆議院の解散は勅令によりこれをなし、勅令では衆議院解散日から四五日以上・六〇日以内に衆議院議員を新たに選出する総選挙日を規定しなければならず、その投票日は全國で同日でなければならない。

衆議院の解散は同一の事由では一回のみしかこれをなすことはできない。

 

第一〇九条(議員の補充)

衆議院の任期満了もしくは解散以外の事由により衆議院議員に欠員が生じた時は、以下を実施する。

(一)選挙区方式の選挙による衆議院議員の議席が空席になった場合、衆議院の残りの任期が一八〇日未満の場合を除き、四五日内に補欠選挙を実施する。

(二)比例代表方式の選挙による衆議院議員の議席が空席になった場合、衆議院議長は空席が生じた日から七日以内に、その選挙区、政党の政党名簿の次点者を代わりの衆議院議員に昇格させることを官報で公示する。ただし昇格する次点者が名簿にない場合、比例代表議員は現有議員により構成する。

(一)に基づき就任する衆議院議員の資格は補欠選挙投票日から、(二)に基づく衆議院議員の資格はその氏名が官報で公示された日の翌日から発生し、任期は衆議院の残り任期と同じとする。

 

第一一〇条(野党指導者)

内閣が國政を担当し始めた後に、國王は所属する衆議院議員が國務大臣に就任しなかった政党では最大の政党であり、現有衆議院議員総数の五分の一以上の議席を有する政党の党首である衆議院議員を衆議院の野党指導者に任命する。

 

第一段の規定に該当する政党がない場合は、所属する衆議院議員が國務大臣に就任しなかった政党の衆議院議員の過半数により支持された政党の党首である衆議院議員を衆議院の野党指導者とする。支持票数が同数の場合は籤引きにより決定する。

衆議院議長は衆議院野党指導者任命の勅命に副署する。

衆議院野党指導者は第一段もしくは第二段の資格を欠いた時に退任し、第一二四条第四段の規定を準用する。その場合、國王は空席となった衆議院野党指導者を任命する。

 

第三節 参議院

 第一一一条(構成)

参議院は各県一人の選挙で選ばれた者と選出された者合わせて一五〇人の議員で構成する。選挙で選ばれた参議院議員の任期途中に県の数の増減があった場合、参議院は現有議員で構成

する。

いかなる事由であるかを問わず参議院議席に空席が生じ、補欠の選挙もしくは選出がなされていない場合、参議院は現有議員で構成する。

参議院議員が第一段に基づく定数に足りない事由が生じたが、参議院議員総数の九五%以上であれば、当該議員数で参議院を構成するものとみなす。ただし当該事由が生じた日から一八〇日以内に第一段に基づく定数となるよう参議院議員を選挙もしくは選出しなければならない。この場合に後に選出された参議院議員の任期は参議院の残りの任期と同じとする。

 

第一一二条(選挙)

各県での参議院議員選挙においては県域を選挙区とし、各県に一議席とする。選挙権者は選挙において立候補者一人に一票を投じる。投票は直接かつ秘密投票方式とする。

参議院議員選挙に資するため、立候補者は選挙運動をすることができるが、参議院の任務遂行に係ることにのみ限定される。

参議院議員の選挙及び選挙運動における原則、方法、要件は衆議院議員選挙及び参議院議員選出についての憲法付属法令に従う。

 

第一一三条(選出委員会)

憲法裁判所長官、選挙委員長、國会オンブズマン長官、國家汚職防止取締委員長、会計検査委員長、最高裁判所大法廷が委任した最高裁判所判事一人、及び最高行政裁判所大法廷が委任した最高行政裁判所判事一人を委員として構成される参議院議員選出委員会を一委員会設置する。参議院議員選出委員会は選挙委員会から名簿を受け取った日から三〇日以内に第一一四条に基づく者を選出し、参議院議員として選出を受けた結果を告示するため選挙委員会に通知する。

第一段に基づく委員は互選によって一人の委員を委員長とする。

いずれかの地位にある委員が不在、もしくは在職しているが職務を果たせない場合、残りの委員が半数以上いれば参議院議員選出委員会は残りの委員で構成される。

 

第一一四条(選出方法)

参議院議員選出委員会は参議院の権限に基づく職務に資する学術セクター、官・民セクター、職業セクター、及びその他セクターにおいて諸団体の推薦を受けた者から参議院議員として相応しい者を第一一一条第一段で規定された数に達するまで選出する。

第一段に基づく選出においては参議院の職務に資する知識、専門性もしくは経験を特に考慮し、異なった知識・能力、男女の平等性、第一段に基づく各セクターにおける人の割合、社会的に機 会に恵まれない者への機会の提供といった観点からの構成を考慮する。

参議院議員選出の原則、方法及び要件は衆議院議員選挙及び参議院議員選出についての憲法付属法令に従う。

 

第一一五条(資格・禁止様態)

以下の資格を有し、かつ禁止様態にない者を参議院議員選挙立候補もしくは参議院議員選出推薦を受ける権利を有する者とする。

(一)出生によるタイ國籍者である。

(二)立候補日もしくは推薦を受けた日に満四〇歳以上である。

(三)学士以上もしくはそれと同等の学歴を有する。

(四)選挙で選ばれる参議院議員立候補者は以下のいずれかの様態になければならない。

(a)立候補日までに立候補する県で五年以上継続して住居登録書に氏名が掲載されている。

(b)立候補する県で出生した者である。

(c)立候補する県に所在する教育機関で五教育年以上継続して教育を受けたことがある。

(d)立候補する県で五年以上継続して公務に就いていたことがある、もしくは住居登録書に氏名が掲載されていたことがある。

(五)衆議院議員もしくは政治的地位にある者の父母・祖父母、配偶者、子ではない。

(六)政党の党員または何らかの地位にある者でない、もしくは政党の党員または何らかの地 位にあったが、立候補日もしくは推薦を受けた日までにその地位から離れて五年以下の者でない。

(六)衆議院議員ではない、もしくは衆議院議員であったが、立候補日もしくは推薦を受けた日までに退任してから五年以下の者でない。

(七)第一〇二条(一)(二)(三)(四)(五)(六)(七)(八)(九)(一一)(一二)(一三)もしくは(一四)に基づく被選挙権行使禁止者である。

(八)國務大臣、もしくは地方議会議員または地方行政者ではない他の政治的地位にある者ではない。あるいは当該地位から離れて五年以下の者でない。

 

第一一六条(兼任禁止)

参議院議員は國務大臣もしくは他の政治的地位者、憲法に基づく独立機関の地位者に就任することはできない。

参議院議員であった者で、議員資格を失ってから二年以内の者は國務大臣もしくは他の政治的地位者に就任することはできない。

 

第一一七条(任期)

参議院議員の議員資格は、選挙で選ばれた議員の場合は参議院議員選挙投票日から、選出議員の場合は選挙委員会が選出結果を告示した日から始まる。

参議院議員の任期は選挙投票日もしくは選挙委員会の選出結果告示日から一期六年とし、参議院議員は一期を超えて継続してその地位に就くことはできない。

任期により議員資格を失った参議院議員は、新たな参議院議員が就任するまで任務遂行のためそのまま任に留まる。

 

第一一八条(改選)

選挙で選ばれた参議院議員の任期が満了した時、國王は総選挙で新たに参議院議員を選挙するため勅令により任期満了日から三〇日以内に参議院議員を選挙することを規定し、その投票日は全國で同日でなければならない。

選出された参議院議員の任期が満了した時、選挙委員会は任期満了日から六〇日以内に選出が終了するよう参議院議員選出の開始日及び期間規定を告示する。

 

第一一九条(議員資格喪失)

参議院議員の議員資格は以下の時に喪失する。

(一)任期が満了した。

(二)死亡した。

(三)辞職した。

(四)第一一五条に基づく資格を失った、もしくは禁止様態にある。

(五)第一一六条、第二六五条もしくは第二六六条に基づく禁止行為をなした。

(六)参議院が第二七四条に基づき罷免の決議をなした、もしくは憲法裁判所が第九一条に基づき議員資格喪失の裁定をなした、あるいは最高裁判所が第二三九条第二段または第二四〇条第三段に基づく命令を出した。その場合、参議院または裁判所が決議あるいは裁定、命令をなした日から議員資格を喪失したものとみなす。

(七)参議院議長の許可なくして一二〇日以上と定められた会期の四分の一以上の日数の会議を欠席した。

(八)過失罪もしくは軽犯罪、名誉毀損罪による場合を除き、確定判決で禁固刑を受けた。このとき刑執行猶予のあるなしを問わない。

 

第一二〇条(補充)

第一一九条に基づく事由により参議院の議席に空席が生じた時、第一一二条、第一一三条、第一一四条及び第一一八条の規定を参議院議員の補欠選挙もしくは選出に適用する。補充された参議院議員は前職者の残り任期だけ就任できる。ただし空席となった議員の任期が残り一八〇日に達しない場合、選挙もしくは選出を実施しなくてもよい。

 

第一二一条(人選審査)

本憲法の規定に基づく地位に就く者の人事審査において、参議院は一委員会を設置し、その地位への就任を推薦された者の経歴、行状及び倫理上の状況を審査させ、必要な事実関係及び証拠を収集し、引き続き審議するために参議院に報告させる。

第一段に基づく委員会の業務は参議院の議事規則に定められた方法に従う。第四節 両院規定

第一二二条(國民代表)

衆議院議員及び参議院議員はタイ全國民の代表であり、何らかの委任、命令もしくは支配に拘束されず、利益相反を排除し、タイ國民全体の利益のために誠実に職務を遂行しなければならない。

 

第一二三条(宣誓)

衆議院議員及び参議院議員は就任前に自己が所属する議会の会議において、以下の言句の宣誓をなさなければならない。

「私(宣誓者名)は國家及び國民の利益のために誠実公正に職務を遂行するとともに、あらゆる点でタイ王國憲法を擁護し、遵守することを誓います。

 

第一二四条(議長・副議長)

衆議院及び参議院は、國王がそれぞれの議会の決議に基づき議員の中から任命する一人の議長、及び一人もしくは二人の副議長を有する。

衆議院の議長及び副議長は、議会の任期満了もしくは解散まで在任する。

参議院の議長及び副議長は、新たな議長及び副議長の選出日の前日まで在任する。

衆議院の議長及び副議長、ならびに参議院の議長及び副議長は、第二段もしくは第三段に基づく任期の満了前であっても、以下の時に退任する。

(一)自己が所属する議会の議員資格を失った。

(二)辞職した。

(三)内閣総理大臣、國務大臣もしくはその他の政治職公務員に就任した。

(四)確定判決であるかどうか、刑執行猶予があるかどうかを問わず、禁固刑判決を受けた。ただし過失罪、軽犯罪もしくは名誉毀損罪によるもので確定判決に至っていない、もしくは刑執行猶予がある場合はその限りではない。

衆議院の議長及び副議長はその地位にある間、政党の執行委員もしくは何らかの地位を兼任することはできない。

 

第一二五条(議長権限)

衆議院議長及び参議院議長はその議会の運営を規則に従ったものとする権限を有し、副議長は議長の委任に基づく職務権限及び議長が不在もしくは任務を遂行できない時に議長を代行する職務権限を有する。

衆議院議長、参議院議長及びその代行者は職務遂行において中立を保たなければならない。衆議院の議長及び副議長、もしくは参議院の議長及び副議長が会議に不在である時、その議会

の議員がその会議の議長を互選する。

 

第一二六条(会議の成立)

衆議院及び参議院の会議は、それぞれ現有議員総数の二分の一以上の議員の出席をもって成立する。ただし第一五六条及び第一五七条に基づく質疑の議事日程を審議する場合、衆議院及び参議院は規則の中に別段の会議成立要件を定めることができる。

審議事項の決議は本憲法に別段の規定がある場合を除き多数決による。

議決において一人の議員は一票を有し、票数が同じ場合は会議の議長が決定票を投じる。

國会議長、衆議院議長及び参議院議長は秘密投票である場合を除き、各議員の投票を記録し、その投票を國民が閲覧できるように公開する。

いずれかの地位への就任者の選出もしくは承認のための投票は、本憲法で別段の規定がない限り秘密投票とし、議員は政党の決議もしくはその他の命令から自由であり、拘束されない。

 

第一二七条(通常國会)

衆議院議員の選挙投票日から三〇日以内に最初の國会会議を召集する。一年間に通常一般会議及び通常立法会議を開く。

第一段に基づく最初の会議の開会日をその年の通常一般会議の開会日とみなす。通常立法会議の開会日は衆議院が決定する。第一段に基づく最初の会議の開会日から暦年最終日まで一五〇日間に満たない場合は、その年は通常立法会議を開催しなくてもよい。

通常立法会議の会期中、両院の現有議員総数の過半数の賛成により他の議案を審議することが決議された場合を除き、國会は第二章の規定に該当する議案、または憲法付属法令案あるいは法令案の審議、緊急勅令の承認、宣戦布告の承認、条約の批准、何らかの地位への就任者の選出あるいは承認、その罷免、質問および憲法改正についてのみ会議することができる。

通常会議の一会期は一二〇日とするが、國王は会期を延長することができる。一二〇日に達する前の通常会議の閉会には國会の承認を要する。

 

第一二八条(國王の國会召集)

國王は國会を召集し、開会及び閉会する。

國王は第一二七条第一段に基づく最初の通常一般会議の開会式に臨席し、または成人の王位継承者もしくは何らかの者を代わりに臨席させる。

國家のために必要な時、國王は特別國会を召集することができる。

第一二九条の規定下に國会の召集、会期延長、閉会は勅令によりこれをなす。

 

第一二九条(特別國会開催の要件)

衆議院議員及び参議院議員は合同で、もしくは衆議院議員は、両院の現有議員総数の三分の一以上の連名により、特別國会召集のため國王に奏上するよう要請する権利を有する。

第一段に基づく要請は國会議長に提出する。

國会議長は國王に奏上し、國王の勅令に副署する。

 

第一三〇条(免責特権)

衆議院、参議院もしくは両院合同会議において、議員が事実関係を発表、見解表明または投票することは絶対的な特権であり、いかなる方法においてもその議員を訴える事由とすることはできない。

第一段に基づく特権は、ラジオもしくはテレビで中継される会議において発言し、それが國会外に明らかになり、その発言が國務大臣もしくはその議会の議員ではない者に対する刑法違反または民事上の他人の権利侵害に当たる場合は、その議員を保護するものではない。

第二段の場合、議員の発言が國務大臣もしくはその議会の議員以外の者に損害を与える可能性がある場合、その議会の議長はその議会の規則が規定する方法および期間に基づき、その者が要請する意見を公告する。このとき裁判所に告訴する権利を妨げない。

本条の規定に基づく特権は、衆議院、参議院あるいは國会の規則に基づき議事録を印刷及び発行する者も保護し、会議における事実の発表あるいは見解の表明を議長に許可された者、及びその議会の議長の許可を得て会議をラジオあるいはテレビで中継した者の保護にも準用する。

 

第一三一条(議員の不逮捕特権)

國会会期中に、衆議院議員もしくは参議院議員を逮捕、拘禁または召喚して刑事事件の容疑者として取り調べることを禁じる。ただしその議員が属する議会の許可を得た場合、もしくは現行犯で逮捕した場合を除く。

現行犯で衆議院議員あるいは参議院議員を逮捕した場合は、ただちにその議員が属する議会の議長に報告する。その議員が属する議会の議長は逮捕された者の釈放を命じることができる。

会期中であるか否かを問わず、衆議院議員もしくは参議院議員が刑事事件で起訴された場合、裁判所は國会会期中にその事件を審判することはできない。ただしその議員が属する議会の許可を得た場合、または衆議院議員選挙及び参議院議員選出についての憲法付属法令、選挙委員会についての憲法付属法令、もしくは政党についての憲法付属法令に係る事件の場合を除くが 、訴訟審理がその議員の会議出席を妨げるものであってはならない。

被告がいずれかの議会の議員であることに言及される前に裁判所がなした審判は有効とする。衆議院議員もしくは参議院議員が会期前の取り調べ、あるいは裁判の審判において拘禁されて

いるうちに会期に達した場合、捜査官あるいは裁判所は、その議員が属する議会の議長からの要請があれば、ただちにその者の釈放を命じなければならない。

釈放命令は、釈放命令のあった日から会期の最終日まで有効とする。

 

第一三二条(衆議院不在時の参議院会議)

衆議院の任期満了もしくは解散後の期間中は参議院会議を開くことはできない。ただし以下の場合を除く。

(一)参議院が第一九条、第二一条、第二二条、第二三条および第一八九条に基づき國会の職務を遂行し、参議院議員数によって議決する会議。

(二)参議院が本憲法の規定に基づき何らかの地位への就任者を選出する会議。

(三)参議院が何らかの地位者の罷免を審議及び決議する会議。

 

第一三三条(審議の公開)

衆議院会議、参議院会議および両院合同会議は各議会の会議規則の規定に基づく形で公開されるが、内閣もしくは各議会または両院の議員総数の四分の一以上の議員が要求した場合は秘密会議とする。

 

第一三四条(会議規則)

衆議院議会及び参議院議会は本憲法の規定に基づく遂行のために、議長及び副議長の選出と職務、各常任委員会の権限に属する案件もしくは活動、委員会の任務及び会議の成立要件、議員あるいは委員の会議方法、法令案及び憲法付属法令案の提出と審議、動議提出、協議、討論、決議、決議記録、決議の公開、質問、一般討論開催、規則の遵守及び秩序維持、議員及び委員の倫理コードに係る規則、ならびに他の活動に関する会議規則を制定する権限を有する。

 

第一三五条(委員会設置)

衆議院及び参議院は、議会の職務権限下にある活動、審議、捜査もしくは調査をなし、議会に答申させるために、それぞれの議員から委員を選出する常任委員会を設置し、 また議員もしくは非議員から委員を選出する特別委員会を設置する権限を有する。特別委員会の設置決議では、活動または案件を明確に、かつ重複がないよう特定しなければならない。

第一段に基づく委員会はその活動、または審議、捜査あるいは調査する案件において 、いずれかの者に書類を請求し、また事実関係の説明あるいは見解表明のために召喚する権限を有し、当該召喚命令は法律の規定に基づき効力を有する。ただしその召喚命令は各裁判所の訴訟審判もしくは人事における権限義務に従った裁判官または判事には適用せず、憲法の規定もしくは憲法付属法令に基づく権限義務に従った國会オンブズマンもしくは憲法に基づく独立機関の委員にも適用しない。

第二段に基づく者が公務員、または官公庁、國の機関、國営企業もしくは地方行政体の職員あるいは被雇用者である場合、委員長はその者が所属する組織を所轄あるいは監督する國務大臣に通知し、第二段に基づく義務を遂行するよう命令させる。ただし國の安全あるいは重要な利益に係る場合には、第二段に基づく手続きをしなくてもよい事由があるものとみなす。

第一三〇条が規定する特権は、本条に基づき職務を遂行する者も保護する。

委員全員を衆議院議員の中から任命する常任委員会の委員数は、衆議院内の各政党あるいは政党グループの現有所属議員数の比率あるいはそれに近い比率に基づかなければならない。

第一三四条に基づく衆議院の会議規則がまだない間は、衆議院議長が第五段に基づく比率を定める。

 

第五節

両院合同会議

第一三六条(合同会議が開かれる場合) 以下の場合に両院合同会議を開く。

(一)第一九条に基づく摂政任命の承認。

(二)第二一条に基づく摂政の國会に対する宣誓。

(三)第二二条に基づく佛暦二四六七年(西暦一九二四年)王位継承に係る王室典範改正の了承。

(四)第二三条に基づく王位継承の了承もしくは承認。

(五)第一二七条に基づく通常立法会議における國会の他の案件審議の決議。

(六)第一二七条に基づく國会閉会の承認。

(七)第一二八条に基づく國会開会。

(八)第一三七条に基づく國会会議規則の制定。

(九)第一四五条に基づく憲法付属法令案もしくは法令案の審議の承認。

(一〇)第一五一条に基づく新たな憲法付属法令案もしくは法令案の協議。

(一一)第一五三条第二段に基づく憲法改正案とそれにともなう憲法付属法令案もしくは法令案審議の承認。

(一二)第一七六条に基づく施政方針演説。

(一三)第一七九条に基づく一般討論の開催。

(一四)第一八九条に基づく宣戦布告の承認。

(一五)第一九〇条に基づく条約の説明聴取及び承認。

(一六)第二九一条に基づく憲法の改正。

 

第一三七条(國会会議規則の適用)

両院合同会議においては國会の会議規則を適用する。國会の会議規則がまだない期間中は衆議院の会議規則を暫定的に準用する。

両院合同会議においては両院の規定を準用する。ただし常任委員会の設置において、それぞれの議会の議員から任命する委員数は各議会の議員数の比率あるいはそれに近い比率に基づかなければならない。

 

第六節

憲法付属法令の制定

第一三八条(憲法付属法の制定)

以下の憲法付属法令があるようにする。

(一)衆議院議員選挙及び参議院議員選出についての憲法付属法令。

(二)選挙委員会についての憲法付属法令。

(三)政党についての憲法付属法令。

(四)國民投票についての憲法付属法令。

(五)憲法裁判所の憲法訴訟についての憲法付属法令。

(六)政治的地位者の刑事訴訟についての憲法付属法令。

(七)國会オンブズマンについての憲法付属法令。

(八)汚職防止取締についての憲法付属法令。

(九)國家会計検査についての憲法付属法令。

 

第一三九条(憲法付属法案の提案者)

憲法付属法令案は以下の者によって提出することができる。

(一)内閣。

(二)衆議院の現有議員数の一〇分の一以上、もしくは両院の現有議員数の一〇分の一以上の両院議員。もしくは

(三)長官もしくは委員長がその憲法付属法令に基づく主務者であるところの憲法裁判所、最高裁判所もしくは憲法に基づく独立機関。

 

第一四〇条(審議方法)

衆議院及び参議院の憲法付属法令案の審議は以下のように三読会でこれをなす。

(一)第一読会において原則了承の投票をなし、第二読会において条項順に審議する。このとき各議会の多数決によってこれをなす。

(二)第三読会における投票は、各議会の現有議員総数の過半数の賛成票をもって憲法付属法

 

 

令としての制定施行を決議しなければならない。

第六章・第七節の法令制定の規定を憲法付属法令の審議に準用する。

 

 

第一四一条(憲法審査)

國会が憲法付属法令案を承認した時、國王署名のための奏上前に憲法裁判所に送付し、憲法裁判所は受理日から三〇日以内に合憲性を審査しなければならない。

憲法裁判所がいずれかの憲法付属法令案に違憲の判断を下した場合、その違憲の内容は廃止する。当該内容が重要部分である、もしくはその憲法付属法令案が憲法の規定に基づかずに制定されたと判断した場合、その憲法付属法令案は廃止される。

憲法裁判所の判断が第一段に基づき違憲内容を廃止する効力を有する場合、その憲法付属法令案を衆議院及び参議院の審議に付すため返送する。その場合、衆議院もしくは参議院は合憲とするよう改定増補する。改定増補の決議は各議会の現有議員数の過半数をもってこれをなし、内閣総理大臣は第九〇条及び第一五〇条または第一五一条に基づき手続きを取る。

 

第七節

法令の制定

 

第一四二条(法案提出)

第一三九条の規定下に法令案は以下の者により提出することができる。

(一)内閣。

(二)二〇人以上の衆議院議員。

(三)裁判所もしくは憲法に基づく独立機関。このときその設置法及びその機関の長が主務者である法律に限る。もしくは

(四)第一六三条に基づき法律提案で署名した一万人以上の選挙権者。

(二)(三)もしくは(四)に基づく提案者の法令案が財政に係る法令案である場合は、内閣総理大臣の同意があった時に提出できる。

國民が(四)に基づき法令案を提出した後、その法令案と同じ原則を有する法令案を(一)または(二)に基づく者がさらに提出した場合、第一六三条第四段の規定をその法令案の審議にも適用する。

法令案はまず衆議院に提出する。

第一段に基づく法令案の提出においては法令案とともに法令案の重要部分の分析要約記録を提出しなければならない。

國会へ提出された法令案は國民に公開されなければならず、國民がその法令案の詳細情報に容易にアクセスできるようにしなければならない。

 

第一四三条(財政関連法案)

財政に係る法令案とは、以下のいずれかの件についての法令案を意味する。

(一)租税に係る賦課、廃止、軽減、変更、是正、猶予もしくは施行規定。

(二)國庫金の配分、受領、保管もしくは支出、または國家歳出予算の移管。

(三)借入、債務保証もしくは返済、あるいは國の資産への拘束。

(五)通貨。

法令案が内閣総理大臣の承認を要する財政に係る法令案であるか否かが疑わしい場合は、衆議院議長および衆議院常任委員会の全委員長との合同会議が裁定する権限を有する。

衆議院議長は第四段に基づく事態が生じた日から一五日以内にこれを審議する合同会議を開く。

第四段に基づく合同会議の決議は過半数による。同数票の場合は衆議院議長が決定票を投じる。

 

第一四四条(修正による財政関連法案)

衆議院議員が提出した法令案で、原則承認の段階では財政に係る法令案ではなかったが、衆議院による修正を経て財政に係る法令案になるに至ったと衆議院議長が判断した場合は、衆議院議長は審議を中断し、その事態が生じた日から一五日以内に、その法令案を衆議院議長及び衆議院常任委員会の全委員長との合同会議に送付し、その裁定に諮る。

第一段に基づく合同会議が修正によりその法令案が財政に係る法令案の形態にあると裁定した場合、衆議院議長はその法令案を内閣総理大臣に送付し、その同意を求める。内閣総理大臣が同意しなかった場合、衆議院はその法令案が財政に係る法令案でなくなるよう修正する。

 

第一四五条(政府法案の両院合同審議)

内閣が第一七六条に基づき國会で施政方針演説し、國政に必要だとした法令案を衆議院が承認しなかったが、反対票数が衆議院の現有議員総数の半数未満だった場合、内閣は両院合同会議の再決議に諮ることができる。國会が承認した場合は、内閣が推薦する両院の同数の議員あるいは非議員で構成する國会合同委員会を設置し、その法令案を審議する。國会合同委員会は審議した法令案を國会に報告及び提出し、國会がその法令案を承認した場合は、第一五〇条に基づき手続きを継続する。國会が承認しなかった場合は、その法令案は廃案となる。

 

第一四六条(参議院での法案審議)

第一六八条の適用下に、衆議院が第一四二条に基づき提出された法令案を審議し、承認した時は、衆議院はその法令案を参議院に提出する。参議院はその提出された法令案の審議を六〇日以内に終了しなければならないが、その法令案が財政に係る法令案である場合は三〇日以内に審議を終了する。ただし参議院が三〇日以内の期間で特別に期間延長を決議した場合を除く。その日数規定は会期中の日数を意味し、その法令案が参議院に提出された日から起算する。

第一段に基づく期間には第一四九条に基づく憲法裁判所の審査期間を含まない。

参議院が第一段で規定する期間内に法令案の審議を終了しなかった場合、参議院はその法令案を承認したものとみなす。

衆議院が財政に係る法令案を参議院に提出する場合、衆議院議長はその提出した法令案が財政に係る法令案であることを通知する。衆議院議長の通知は絶対的なものとする。

法令案が財政に係る法令案であることを衆議院議長が通知しなかった場合、その法令案は財政に係る法令案ではないものとみなす。

 

第一四七条(参議院審議終了後の手続き)

第一六八条の適用下に、参議院が法令案の審議を終了した時、

(一)衆議院に同意する場合は、第一五〇条に基づく手続きをなす。

(二)衆議院に同意しない場合は、その法令案を保留し、衆議院に返付する。

(三)修正した場合は、その修正された法令案を衆議院に送付する。衆議院が修正に同意した場合は、第一五〇条に基づく手続きをなす。その他の場合は、両院はそれぞれ同数の議員あるいは非議員の委員を衆議院が規定する人数任命し、その法令案を審議するための合同委員会を設置する。合同委員会は審議した法令案を両院に提出する。両院がその合同委員会が審議した法令案を承認した場合は、第一五〇条に基づく手続きをなす。いずれかの議会が承認しない場合は、その法令案を保留する。

合同委員会は法令案審議において、いずれかの者に資料提出を請求し、また事実関係の証言もしくは見解の表明のために召喚することができ、第一三〇条の規定に基づく特権は本条に基づき義務を遂行する者も保護する。

合同委員会の会議は両院の委員総数の二分の一以上の出席をもって成立し、第一三七条の規定を準用する。

参議院が第一四六条に基づく期間内に法令案を衆議院に返付しなかった場合、参議院はその法令案を承認したものとみなし、第一五〇条に基づく手続をなす。

 

第一四八条(衆議院での再審議)

第一四七条に基づき保留された法令案において、第一四七条(二)に基づく保留の場合は参議院が法令案を衆議院に返付した日から、 第一四七条(三)に基づく保留の場合はいずれかの議会が承認しなかった日から一八〇日が経過した時に、衆議院が改めて審議することができる。その場合、衆議院が原案あるいは合同委員会が審議した案を現有衆議院議員総数の過半数で可決した時、その法令案は國会の承認を受けたものとみなし、第一五〇条に基づく手続きをなす。

保留された法令案が財政に係る法令案である場合、衆議院はただちにその法令案の再審議に入ることができる。その場合、衆議院が原案あるいは合同委員会が審議した案を現有衆議院議員総数の過半数で可決した時、 その法令案は國会の承認を受けたものとみなし、第一五〇条に基づく手続きをなす。

 

第一四九条(保留中の法案と同一法案の提出禁止)

 

 

第一四七条の規定に基づき法令案が保留されている間、内閣あるいは衆議院議員は保留されている法令案と同一もしくは同様の原則の法令案を提出することはできない。

衆議院もしくは参議院が、提出または送付された法令案が保留されている法令案と同一、あるいは同様の原則の法令案であると判断した場合は、衆議院議長または参議院議長はその法令案を憲法裁判所に送付し、その裁定に諮る。憲法裁判所が保留されている法令案と同一、あるいは同様の原則の法令案であると裁定した場合は、その法令案は廃案となる。

 

第一五〇条(法律の施行)

國会の承認を受けた法令案は、内閣総理大臣が國会からその法令案を受け取った日から二〇日以内に國王の署名を得るために奏上し、官報で公示した後に法律として施行することができる。

 

第一五一条(法律と國王承認)

國王が承認せず國会に返付した、もしくは九〇日が経過しても返付しなかった法令案は、國会が再審議しなければならない。國会が両院議員総数の三分の二以上をもって元の決議を支持した場合は、内閣総理大臣が再びその法令案を奏上し、國王が三〇日以内に署名して返付しない時、内閣総理大臣は國王が署名した場合と同様に、その法令案を官報で公示し、法律として施行することができる。

 

第一五二条(社会的弱者関連法案の審議)

衆議院議長が児童、女性及び高齢者、または障害者、虚弱者に係る重要な内容があると判断した法令案の審議について、衆議院が全院委員による審議をしない場合、衆議院は委員総数の三分の一以上がそれらの者に関連する民間団体代表からなる特別委員会を設置する。ここに男女の割合を近づけるようにする。

 

第一五三条(衆議院解散後の廃案規定)

衆議院が任期満了もしくは解散した場合は、國王がまだ承認していない、あるいは九〇日が経過してもまだ返付していない憲法改正案または法令案は廃案となる。

衆議院が任期満了もしくは解散した場合、総選挙後に新たに成立した内閣が総選挙後最初の國会の召集日から六〇日以内に請求し、國会が承認した時、國会、衆議院もしくは参議院は國会がまだ承認していない憲法改正案または法令案の審議を継続することができる。内閣がその期間内に請求しなかった時は、その憲法改正案または法令案は廃案になる。

第二段に基づく憲法改正案または法令案の審議継続は衆議院、参議院もしくは國会の会議規則の規定に従う。

 

第八節 違憲である法律制定の制御

 

 

第一五四条(憲法判断請求)

國会が承認した法令案を内閣総理大臣が第一五〇条に基づき國王の署名を求めて奏上する前に、または國会が第一五一条に基づき支持を決議した法令案を内閣総理大臣が改めて國王の署名を求めて奏上する前に、

(一)両院現有議員総数の一〇分の一以上の衆議院議員、参議院議員もしくは両院議員が、その法令案が本憲法に抵触あるいは相反する内容がある、または本憲法の規定に照らして不当に制定されたと判断した場合、衆議院議長、参議院議長もしくは國会議長に見解を提出し、その見解を受理した議会の議長は、遅滞なくその見解の裁定を求めて憲法裁判所に送付するとともに内閣総理大臣に通知する。

(二)内閣総理大臣がその法令案が本憲法に抵触あるいは相反する内容がある、または本憲法の規定に照らして不当に制定されたと判断した場合は、遅滞なく裁定を求めて憲法裁判所にその見解を送付するとともに衆議院議長および参議院議長に通知する。

憲法裁判所が審議する間、内閣総理大臣は憲法裁判所が裁定するまでその法令案の公示手続きを中断する。

憲法裁判所がその法令案は本憲法に抵触あるいは相反する内容がある、または本憲法の規定に照らして不当に制定されたと裁定し、かつその事項がその法令案の重要部分である場合は、その法令案は廃案になる。

憲法裁判所がその法令案は本憲法に抵触あるいは相反する内容があるが、第三段には該当しないと裁定した場合は、その抵触あるいは相反する内容を廃止し、内閣総理大臣は第一五〇条あるいは第一五一条に基づく手続きを継続する。

 

第一五五条(國会会議規則案の憲法判断請求)

第一五四条の規定を、衆議院、参議院もしくは國会が承認したが、まだ官報で公示していない衆議院会議規則案、参議院会議規則案及び國会会議規則案に準用する。

 

第九節 國政監督

 

 

第一五六条(大臣への質疑)

衆議院議員もしくは参議院議員全員は國務大臣にその職務に係る質問をなす権利を有するが、内閣がその件が國の安全あるいは重要な利益に係ることであり、まだ公表すべきではないと判断した時、大臣は答弁しない権利を有する。

 

第一五七条(重要問題での質疑応答)

國民の関心が高い重要な國政の問題があり、それが國あるいは國民の利益に影響する 、もしくは緊急の問題である場合、衆議院議員はその日の会議が開会する前に衆議院議長に対して、内閣総理大臣あるいはその問題の所轄大臣に質問があることを、質疑事項を明記することなく文書

 

 

で申し立て、衆議院議長はその件をその日の議事に組み入れる。

第一段に基づく質疑及び答弁は一週間につき一回なすことができ、その衆議院議員は衆議院会議規則に基づき、その一つの國政問題について三回以下の質問をなすことができる。

 

第一五八条(首相不信任案)

衆議院議員は現有衆議院議員総数の五分の一以上の連名により、内閣総理大臣の不信任決議のための一般討論を要請する動議を提出する権利を有する。その動議では第一七一条第二段に該当する後継の内閣総理大臣に就任すべき者も推薦しなければならない。動議があった時、衆議院を解散することはできない。ただし動議の取り下げがあった、もしくは決議で第三段に基づく票数を得られなかった場合はその限りではない。

第一段に基づく一般討論要請動議の提出が、異常蓄財、背任、もしくは憲法または法律規定の故意の違反に係る内閣総理大臣の行動に係る問題である場合、第二七一条に基づく申立をすることなく提出することはできず、第二七一条に基づく申し立てをした時は、第二七二条に基づく手続きの結果を待つことなく、次の手続きをなすことができる。

議事日程の省略決議によってではなく一般討論が終了した時、衆議院は信任もしくは不信任の決議をなす。その場合の決議は討論が終了した日にはなさない。不信任決議の成立には現有衆議院議員総数の過半数の票数を要する。

不信任決議が現有衆議院議員総数の過半数に満たなかった場合、その一般討論要請動議に署名した衆議院議員はその会期中、内閣総理大臣の不信任決議のために一般討論要請動議に再び連名する権利を失う。

不信任決議が現有衆議院議員総数の過半数の票数に達した場合、衆議院議長は第一段に基づき推薦された者の氏名を任命のために奏上し、第二七二条は適用しない。

 

第一五九条(大臣不信任案)

衆議院議員は現有衆議院議員総数の六分の一以上の連名により、個々の國務大臣の不信任決議のための一般討論を要請する動議を提出する権利を有し、第一五八条第二段、第三段および第四段の規定を準用する。

衆議院議員が第一段に基づき連名した日より後に元の地位から離れ、別の地位に就いた大臣は、第一段に基づく不信任案決議のための討論を回避することはできない。

第二段の内容を、第一段に基づき衆議院議員が連名した日より前の九〇日以内に元の地位から離れたが別の地位に就いた大臣にも準用する。

 

第一六〇条(不信任案提出要件緩和)

野党の衆議院議員が第一五八条もしくは第一五九条に基づく一般討論要請動議提出の要件である人数に達していない場合、内閣が國政を担当して二年を超えた時、現有の当該衆議院議員の半数を超える者が連名することにより第一五八条または第一五九条に基づき内閣総理大臣もし

 

 

くは個々の國務大臣に対する不信任決議のために一般討論要請動議を提出する権利を有する。

 

 

第一六一条(参議院での國政問題審議)

参議院議員は現有参議院議員総数の三分の一以上の連名により、國政に関する重要な問題について内閣に事実関係の説明もしくは意見表明させるための一般討論要請動議を提出する権利を有する。その際、決議はしない。

本条に基づく一般討論は一会期中一回のみ、これをなすことができる。

 

 

第一六二条(大臣の説明責任)

内閣総理大臣もしくは國務大臣の職務に係る件についての質疑、あるいは不信任案審議のために、衆議院または参議院の会議がある場合、その件について自ら説明または答弁するために衆議院もしくは参議院の会議に出席することは内閣総理大臣または國務大臣の義務とする。ただし説明または答弁できそうもない事由がある場合はその限りではないが、当該の件についての國会会議日の前、またはその日に衆議院議長もしくは参議院議長に通知しなければならない。

不信任案審議における質疑及び決議において衆議院議員は政党の決定に拘束されない。第七章 國民の直接政治参加

第一六三条(立法)

選挙権を有する國民は一万人以上の連名により、國会が本憲法第三章及び第五章の規定に基づき法令案を審議するよう國会議長に請願する権利を有する。

第一段に基づく請願は法令案作成提出をもってなさなければならない。連名ならびに署名審査の原則及び方法は法律が規定するところに従う。

第一段に基づく法令案の審議において、衆議院及び参議院はその法令案提出で連名した選挙権を有する國民の代表に法令案の原則について説明させ、当該法令案審議のための特別委員会は全委員数の三分の一以上がその法令案提出で連名した選挙権を有する國民の代表者で構成されるようにしなければならない。

 

第一六四条(弾劾請求)

選挙権を有する國民は二万人以上の連名により、第二七〇条に基づく者の罷免のため参議院が第二七四条に基づき決議するよう参議院議長に請願する権利を有する。

第一段に基づく請願は当該地位者の違反容疑について項目ごとに明確に示していなければならない。

第一段に基づく國民の請願における原則、方法及び要件は汚職防止取締についての憲法付属法令に従う。

 

 

第一六五条(國民投票)

選挙権を有する國民は國民投票において投票権を有する。

國民投票の実施は以下の事由においてこれをなすことができる。

(一)内閣がいずれかの件での事業が國家もしくは國民の利害に影響すると判断した場合、内閣の承認により内閣総理大臣は國民投票の実施を官報公示するために衆議院議長及び参議院議長と協議する。

(二)國民投票の実施を規定する法律がある場合。

(一)または(二)に基づく國民投票は、特別規定の法律がある場合を除き、國民投票を実施した問題において國民投票の投票権者の多数決により決定するための投票として、もしくは内閣に提言するための投票として実施することができる。

國民投票は設定された件において賛成か反対の投票でなければならず、憲法に抵触するまたは 反する件における、もしくは個人または団体に係る國民投票実施はこれをなすことはできない。國民投票の前に、國は十分な情報を提供し、賛成側及び反対側の者に自己の意見を表明する機

会を平等に与えなければならない。

國民投票の原則及び方法は國民投票についての憲法付属法令に従う。当該憲法付属法令においては少なくとも國民投票の方法に係る詳細、実施期間、及び決定のための投票数を定めなければならない。

 

第八章 金融・財政・予算

 

 

第一六六条(予算法)

國家歳出予算は法令として作成する。会計年度の歳出予算法令の公布が新しい会計年度に間に合わない場合は、前会計年度の歳出予算法を暫定的に適用する。

 

第一六七条(予算法案提出)

会計年度歳出予算法案の提出においては、歳入見積りに係る明細がなければならず、各支出項目における目的、事業、計画及びプロジェクトを明確に定め、支出及び収入確保、様々な形での特定免税による利益と収入不足、繰越予算設置、國の借入の必要性、國営企業の財務状況からの全体に係る國の財務状況を示さなければならない。

いずれかの費目で官公庁、國営企業もしくは他の國の機関への予算配分を直接的に設定できない支出は、中央支出費に組み込む。このときその中央支出予算の規定において事由と必要性を示さなければならない。

中期的金融計画、収入確保、國家歳出予算作成の方向性、金融及び財産、会計、公共基金の運営管理、借入または國の財産への拘束義務手続、緊急または必要な場合の準備金規定の原則、及びその他の関連事項に係る原則を含めた金融財政規律の枠組を定めるために國の金融財政の法律があるようにする。当該法律は収入確保、持続的な経済の安定性維持、開発の原則、社会内の

 

 

公正に基づく支出の監督枠組として使用する。

 

 

第一六八条(予算法審議)

会計年度歳出予算法令案、補正歳出予算法令案及び歳出予算移管法令案について、衆議院はその法令案が提出された日から一〇五日以内に検討及び審議を終了しなければならない。

衆議院がその法令案の審議を第一段に掲げた期間内に終了しない場合、衆議院はその法令案を承認したものとみなし、その法令案を参議院に送付する。

参議院の審議において、参議院はその法令案が提出された日から二〇日以内に、 その法令案を修正することなく可否の決議をなす。その期間が経過した時、参議院はその法令案を承認したものとみなす。その場合及び参議院が承認した場合は第一五〇条に基づく手続きをとる。

その法令案を参議院が承認しなかった場合は、第一四八条第二段の規定を準用する。

会計年度歳出予算法令案、補正歳出予算法令案及び歳出予算移管法令案の審議において、衆議院議員は費目の追加あるいは費目内の増額の修正動議はできないが、以下のいずれかの拘束に基づく支出以外の減額あるいは費目削除の修正動議は提出することができる。

(一)債務元金の返済。

(二)債務利息の返済。

(三)法律が規定する支出。

衆議院、参議院もしくは委員会の審議において、衆議院議員、参議院議員または委員に直接、間接を問わず利害が関係する歳出予算の使用についての提案、修正動議あるいは何らかの行為は、これをなすことができない。

衆議院議員または参議院議員が各議会の現有議員総数の一〇分の一以上の連名で、第六段の規定に基づく違反があると判断した場合、憲法裁判所に意見を提出し、憲法裁判所は意見を受理した日から七日以内に裁定しなければならない。憲法裁判所が第六段の規定に基づく違反があると裁定した場合、その提案、修正動議あるいは行為は無効とする。

國は國会、憲法裁判所、司法裁判所、行政裁判所、憲法に基づく機関の独立運営に十分な予算を配分しなければならない。

國会の歳出予算審議において、裁判所及び第八段に基づく機関は、配分された予算が十分でないと判断すれば、委員会に直接修正動議を提出することができる。

 

第一六九条(國庫支出)

國庫からの支出は、歳出予算についての法律、予算編成についての法律、予算移管についての法律または國庫金についての法律に基づき許可された場合のみ、これをなすことができる。ただし緊急に支出する必要がある場合は、法律が規定する原則及び方法に基づく限りにおいて、事前に支出することができる。その場合、歳出予算移管法令、補正歳出予算法令または次年度の歳出予算法令により補填予算を計上しなければならない。ここにすでに支払われた支出を補填するための財源を定める。

 

 

國が戦争または交戦状態にある期間中、内閣は官公庁または國営企業の支出予算を会計年度歳出予算法案に定められたところと異なる事業にただちに移す権限を有する。このとき内閣は遅滞なく國会に報告する。

いずれかの費目に定められた予算に基づく支出を官公庁または國営企業の他の費目に移す場合、政府は六ヶ月ごとに國会に報告する。

 

第一七〇条(予算外支出入)

國庫収入として納付する必要のない國のいずれかの機関の収入金は、その機関が当該支出入金報告を作成し、毎会計年度が終了した時に内閣に提出し、内閣は衆議院及び参議院に報告する。

第一段に基づく収入金の支出は本章に基づく金融財政規律の枠組内になければならない。第九章 内閣

第一七一条(構成・任命・任期)

國王は、共同責任に基づく國政の任務を有する一人の内閣総理大臣及び三五人以下の他の國務大臣で構成する内閣を任命する。

内閣総理大臣は第一七二条に基づき選出された衆議院議員でなければならない。衆議院議長は内閣総理大臣任命の勅命に副署する。

内閣総理大臣は連続八年を超えてその任に留まることはできない。

 

 

第一七二条(首相選出)

衆議院は第一二七条に基づく最初の國会の召集日から三〇日以内に、内閣総理大臣に選出されるのに適当な者を審議、承認する。

第一段に基づく内閣総理大臣に就任するのに適当な者の氏名の提出では、現有衆議院議員総数の五分の一以上の推薦を要する。

内閣総理大臣の指名を承認する衆議院の決議には、現有衆議院議員総数の過半数の支持票を要する。その場合の票決は公開投票による。

 

第一七三条(期限内に指名できない場合)

最初の國会が召集されてから三〇日が経過しても、第一七二条第三段に基づき内閣総理大臣に指名される者が承認されない場合、その期限が経過した日から一五日以内に、衆議院議長は最多得票者を内閣総理大臣に任命する勅命を求めてその件を奏上する。

 

第一七四条(大臣の資格要件)

國務大臣は以下の資格を有していなければならず、かつ禁止様態にあってはならない。

(一)出生によるタイ國籍を有する。

 

 

(二)満三五歳以上である。

(三)学士あるいは学士相当の学歴がある。

(四)第一〇二条(一)(二)(三)(四)(六)(七)(八)(九)(一一)(一二)(一三)もしくは (一四)に基づく禁止様態にない。

(五)過失罪もしくは軽犯罪による場合を除き、禁固刑判決を受けたことがない。もしくは禁固刑判決を受けたことがあっても刑期が終了してから任命までに五年以上が経っている。

(六)参議院議員ではない、もしくは國務大臣に任命されるまでの二年未満の間に議員資格を失った参議院議員だった者ではない。

 

第一七五条(宣誓)

國務大臣は就任前に國王に対して以下の言句の宣誓をなさなければならない。

「私(宣誓者氏名)は國王に対する忠誠を尽くし、國及び國民のために誠実公正に職務を遂行するとともに、あらゆる点でタイ王國憲法を擁護し、遵守することを誓います 」

 

第一七六条(施政方針演説)

國政を担う内閣は、就任日から一五日以内に、信任決議をなすことなく第七五条に基づき國会に対して施政方針演説をなし、國の基本政策指針を説明しなければならず、姿勢方針演説後は第七六条に基づき毎年の公務の方向性を定めるために施政計画を策定しなければならない。

第一段に基づく國会に対する施政方針演説前に、放置すると國家の利益に重大な影響を及ぼす重要かつ緊急の事態が発生した場合、就任した内閣は必要な措置をとることができる。

 

第一七七条(國会への説明責任)

國務大臣は國会の会議に出席し、説明もしくは見解を表明する権利を有し、衆議院または参議院が出席を求める決議をなした場合、國務大臣は会議に出席しなければならず、第一三〇条が規定する特権を國務大臣にも準用する。

衆議院の会議において、同時に衆議院議員でもある國務大臣が、その地位、職務遂行に係る件、もしくは利害関係を有する件について投票することを禁じる。

 

第一七八条(國会への共同責任)

國政において、國務大臣は憲法、法律の規定、及び第一七六条に基づく施政方針に従わなければならず、自己の職務について國会に対して責任を負うとともに、 内閣の政策全般について國会に対して共同で責任を負わなければならない。

 

第一七九条(一般討論)

國政に係る重大な問題があり、内閣が衆議院議員及び参議院議員の意見を聴取すべきだと判断した場合、内閣総理大臣は國会議長に國会両院合同会議において一般討論を開くことを要請する

 

 

ことができる。その場合、國会は討論した問題について決議することはできない。

 

 

第一八〇条(総辞職)

内閣は以下の時に総辞職する。

(一)内閣総理大臣が第一八二条に基づき國務大臣資格を失った。

(二)衆議院の任期が満了した、もしくは解散した。

(三)内閣が辞職した。

内閣総理大臣が第一八二条(一)(二)(三)(四)(五)(七)または(八)に基づき國務大臣資格を失った場合は、第一七二条及び第一七三条に基づく手続きを準用する。

 

第一八一条(選挙管理内閣

辞職した内閣は新内閣が就任するまで職務を遂行するために在任しなければならないが、第一八〇条(二)に基づき辞職した場合には、内閣及び國務大臣は以下に定めた要件下に必要な職務遂行をのみなすことができる。

(一)職位または月給を有する公務員、もしくは國の機関、國営企業または國が大株主となっている事業の職員の任命または異動の権限行使、もしくは当該人物の職務、職位からの解任、あるいは別の者に職務を代わりに遂行させるような行為をなすことはできない。ただし選挙委員会から事前に承認を得た場合はその限りではない。

(二)緊急もしくは必要な場合のための予備予算の支出許可となるような行為は、選挙委員会から事前に許可を得た場合を除き、これをなすことはできない。

(三)事業またはプロジェクトの許可となるような行為、もしくは次の内閣を拘束するような行為をなすことはできない。

(四)國の資源または國の人員を選挙に影響を及ぼす行為のために使用することはできず、選挙委員会が定めた規則に基づく禁止事項に違反するような行為をなすことはできない。

 

第一八二条(大臣資格喪失)

國務大臣の資格は以下の場合に喪失する。

(一)死亡した。

(二)辞任した。

(三)過失罪、軽犯罪または名誉毀損罪を除き、確定判決であるかどうか、刑執行猶予付きであるかどうかを問わず、禁固刑判決を受けた。

(四)衆議院が第一五八条あるいは第一五九条に基づき不信任を決議した。

(五)第一七四条に基づく資格を失った、もしくは禁止様態にある。

(六)第一八三条に基づく國務大臣解任の勅命があった。

(七)第二六七条または第二六八条、第二六九条に基づく禁止行為をなした。

(八)参議院が第二七四条に基づき罷免を決議した。

 

 

第一段に基づく國務大臣資格の喪失事由のほかに、第一七一条第四段に基づき内閣総理大臣の在任期間が満了した時にも國務大臣資格は喪失する。

第九一条及び第九二条の規定を(二)(三)(五)または(七)もしくは第二段に基づく國務大臣資格の喪失に適用する。このとき選挙委員会が憲法裁判所の裁定を求める。

 

第一八三条(解任勅命)

國王は内閣総理大臣の助言により、國務大臣の解任を勅命する権限を有する。

 

 

第一八四条(緊急勅令)

國の安全保障、公共の安全、國家経済の安定もしくは公共災害の防止のために、國王は法令と同様に施行する緊急勅令を制定することができる。

第一段に基づく緊急勅令制定は、内閣が不可避の必要が緊急の場合だと判断した時にのみ、これをなすことができる。

次期國会会議において、内閣は遅滞なくその緊急勅令を國会審議に諮る。國会閉会中であり、通常國会の開会を待つのでは遅過ぎる場合、内閣は緊急勅令の認否のために速やかに特別國会召集の手続きをとらなければならない。衆議院が否決した、あるいは衆議院は認可したが参議院が否決し、衆議院の再決議が現有衆議院議員総数の過半数に達しなかった場合、その緊急勅令は失効するが、その緊急勅令の適用中になされた活動には影響しない。

第一段に基づく緊急勅令が何らかの法律規定を改定増補もしくは廃止する効力を有し、その緊急勅令が第三段に基づき失効した場合、改定増補または廃止される前の法律の規定はその緊急勅令否決が発効する日から再び適用される。

衆議院及び参議院がその緊急勅令を認可した、もしくは参議院が否決したが衆議院が現有衆議院議員総数の過半数の票数で再認可した場合は、その緊急勅令は法令として適用される。

緊急勅令の認否については、内閣総理大臣が官報において公示する。否決の場合は官報公示日の翌日から適用する。

緊急勅令についての衆議院及び参議院の審議は各議会の会議の最初の機会になさなければならない。

 

第一八五条(緊急勅令の憲法判断)

衆議院もしくは参議院が第一八四条第三段に基づき緊急勅令を認可する前に、衆議院議員または参議院議員は各議会の現有議員総数の五分の一以上の連名により、自己が属する議会の議長に対してその緊急勅令が第一八四条第一段または第二段に従っていないとの見解を提出する権利を有する。その見解を受理した議会の議長は、受理日から三日以内に憲法裁判所にその見解を送付し、その裁定に諮る。憲法裁判所が裁定した時は、見解を送付した議会の議長にその裁定結果を通知する。

衆議院議長もしくは参議院議長が第一段に基づく衆議院議員または参議院議員の見解を受理

 

 

した時、第一段に基づく憲法裁判所の裁定が下るまでその緊急勅令の審議を中断する 。

緊急勅令が第一八四条第一段または第二段に従っていないと憲法裁判所が裁定した場合は、その緊急勅令は最初から無効になる。

緊急勅令が第一八四条第一段または第二段に従っていないとの憲法裁判所の裁定には、憲法裁判所判事総数の三分の二以上の票数を要する。

 

第一八六条(租税・通貨に関する緊急勅令)

國会会期中に、國益の保持のために緊急かつ秘密に審議しなければならない租税もしくは通貨についての法律を制定する必要が生じた場合、國王は法令と同様に施行する緊急勅令を制定することができる。

第一段に基づき制定された緊急勅令は官報公布日の翌日から三日以内に衆議院に提出しなければならず、第一八四条の規定を準用する。

 

第一八七条(國王の勅令制定権限)

國王は法律に抵触しない限りにおいて勅令を制定する権限を有する。

 

 

第一八八条(戒厳令)

國王は戒厳令法に基づく形態及び方法に基づき、戒厳令の施行もしくは廃止を布告する権限を有する。

緊急に特定地域で戒厳令を施行する必要がある場合、軍の係官は戒厳令法に基づきこれをなすことができる。

 

第一八九条(宣戦布告)

國王は國会の承認により宣戦を布告する権限を有する。

國会の承認決議には両院の現有議員総数の三分の二以上の票数を要する。

衆議院が任期満了もしくは解散中の間は、参議院が第一段に基づく承認において國会としての職務を遂行し、決議には現有参議院議員総数の三分の二以上の票数を要する。

 

第一九〇条(条約)

國王は諸外國あるいは國際機関と和平条約もしくは停戦条約またはその他の条約を締結する権限を有する。

タイ領土もしくは國家主権区域、あるいはタイ國が主権を有する國外区域、条約または國際法に基づく権益区の変更に係る条項のある、または条約に基づき法令を制定する必要のある条約、もしくは國の経済または社会の安全保障に広大な影響を及ぼす、あるいは國の貿易、投資または予算面で拘束のある条約は、國会の承認を受けなければならない。ここに國会は当該の件の提出を受けた日から六〇日以内に審議を終えなければならない。

 

 

第二段に基づく諸外國もしくは國際機関と条約を締結するための手続き前に、内閣は國民に情報を提供し、公聴会を開かなければならず、その条約に係る説明を國会になさなければならない。ここに内閣は承認を求めるために國会に交渉の枠組を提出する。

条約調印後、拘束義務が生じる前に、内閣は國民がその条約の詳細にアクセスできるようにし、条約の遵守が國民または中小企業に影響を及ぼす場合、内閣は影響を受ける者に対し迅速、相当、公正な解決または救済を進めなければならない。

國の経済・社会の安全保障に広大な影響をもたらす、もしくは貿易または投資に重要な拘束をもたらす条約の策定プロセス及び方法を定め、その条約により利益を得る者と影響を受ける者の間の公正さ及び一般國民に考慮し、当該条約の遵守により影響を受ける者に対する解決または救済を定める法律があるようにする。

第二段に基づく問題がある場合、憲法裁判所が裁定権限を有する。ここに第一五四条(一)の規定を憲法裁判所への見解提出にも準用する。

 

第一九一条(恩赦)

國王は恩赦権限を有する。

 

 

第一九二条(國王の叙勲取消権限)

國王は位階を取り消し、勲章を返還させる権限を有する。

 

 

第一九三条(勅任官)

國王は省事務次官、局長もしくは同等の地位にある武官あるいは文官公務員を任命し 、かつ死亡による退任の場合を除き、その者を退任させる。

 

第一九四条(公務員の政治職兼任禁止)

政治職公務員以外の職位または月給を有する公務員及び國の職員は政治職公務員になることができず、 あるいは他の政治的地位に就くことはできない。

 

第一九五条(大臣の副署)

國政に係る法律、國王親書及び勅命には、本憲法に別段の規定がある場合を除き大臣の副署がなければならない。

國王の署名がある、もしくは署名があるものとみなされる法律は、ただちに官報で公示する。

 

 

第一九六条(議員報酬)

枢密顧問官、衆議院の議長及び副議長、参議院の議長及び副議長、衆議院の野党指導者、衆議院議員及び参議院議員の地位給その他の報酬は勅令により定める。その勅令では就任日前に支払われるかどうかを定めなくてはならない。

 

 

枢密顧問官の退職金・年金その他の報酬は勅令により定める。第一〇章 裁判所

第一節 総則

 

 

第一九七条(訴訟審判権)

訴訟の審理・判決は裁判所の権限であり、國王の名において憲法及び法律に基づき公正にこれをなさなければならない。

裁判官及び判事は憲法及び法律に基づき正当、迅速、公正な訴訟の審判において独立自由性を有する。

裁判官及び判事の異動は、法律が規定する任期満了、昇級、規律上の処分中もしくは刑事訴訟の被告人になった場合、訴訟審判における公正性に影響を及ぼす場合、地位を侵すに至らない不可抗力、その他必要な事由がある場合を除き、その裁判官及び判事の同意なしにこれをなすことはできない。ここに法律の規定に従う。

裁判官及び判事は政治職公務員もしくは政治的地位者になることはできない。

 

 

第一九八条(設置)

すべての裁判所は法令によってのみ設置することができる。

訴訟審判についての法律に基づきすでにある裁判所に代わり、特定の訴訟もしくは容疑について審判する裁判所を新設することはできない。

特定の訴訟に適用するための裁判所または訴訟審理方法の変更、改定増補につながる法律規定はこれをなすことはできない。

 

第一九九条(裁判所間の調整)

司法裁判所、行政裁判所、軍事裁判所もしくはその他の裁判所の間の職務権限に係る問題が発生した場合は、最高裁判所長官の委員長、最高行政裁判所長官、その他の裁判所の長官及び法律が規定する四人以下の有識者の委員で構成する委員会が裁定する。

第一段に基づく問題提起の原則は法律の規定に従う。

 

 

第二〇〇条(國王の任免権)

國王は裁判官及び判事を任命し、死亡による退任の場合を除き解任する。

憲法裁判所、司法裁判所、行政裁判所及び軍事裁判所以外の裁判所の裁判官及び判事の任命と解任、ならびにその裁判所の判決権限および審理方法はその裁判所の設置法に従う。

 

第二〇一条(宣誓)

 

 

裁判官及び判事は就任前に、國王に対して以下の言句の宣誓をしなければならない。

「私(宣誓者氏名)は國王に忠誠を尽くし、國民への正義及び王國の安寧のために國王の名において誠実かついかなる偏見もなく職務を遂行するとともに、あらゆる面でタイ王國憲法及び法律に基づき、國王を元首とする民主主義統治制度を擁護し、遵守することを誓います」

 

第二〇二条(特別待遇)

裁判官及び判事の月給、職位給その他の報酬は法律の規定に従い、文官公務員の月給または職位給体系を適用することはできない。

第一段の規定は選挙委員、國会オンブズマン、國家汚職防止取締委員及び國家会計検査委員にも準用する。

 

第二〇三条(法務委員の兼任禁止)

人は職位に基づく委員もしくは有識者委員であるかを問わず、法律に基づく司法裁判所法務委員会の委員、行政裁判所法務委員会の委員あるいはその他の裁判所の法務委員会の委員を同時に兼ねることはできない。

 

第二節  憲法裁判所

 

 

第二〇四条(構成)

憲法裁判所は、國王が参議院の助言により以下の者の中から任命する一人の憲法裁判所長官及び八人の憲法裁判所判事で構成する。

(一)最高裁判所の裁判官以上の地位にあり、最高裁判所総会の秘密投票により選出された最高裁判所の裁判官三人。

(二)最高行政裁判所の判事総会の秘密投票により選出された最高行政裁判所の判事二人 。

(三)法律学で真の知識、専門性を有し、第二〇六条に基づき選出された法律学系の有識者二人。

(四)國政面で真の知識、専門性を有し、第二〇六条に基づき選出された政治学、行政学、もしくはその他社会科学系の有識者二人。

(一)もしくは(二)に基づき最高裁判所の裁判官、または最高行政裁判所の判事が選出されなかった場合、最高裁判所総会もしくは最高行政裁判所判事総会は第二〇五条に基づく資格を有し、かつ禁止様態になく、憲法裁判所判事として職務遂行するのに相応しい法律学面の知識、専門性を有する者を(一)または(二)に基づく憲法裁判所判事として選出する。

第一段に基づき選出された者は会議を開き、一人を憲法裁判所長官に互選し、その結果を参議院議長に通知する。

参議院議長は憲法裁判所長官及び憲法裁判所判事任命の勅命に副署する。

 

 

第二〇五条(有識者判事の資格)

第二〇四条(三)及び(四)に基づく有識者は以下の資格を有し、かつ禁止様態にあってはならない。

(一)出生によるタイ國籍を有する。

(二)満四五歳以上である。

(三)國務大臣、最高軍事法廷判事、選挙委員、國会オンブズマン、國家汚職防止取締委員、國家会計検査委員もしくは國家人権委員だったことがある。または検察副総長、局長あるいはそれ相当の地位、または教授以上の地位に就いたことがある、あるいは推薦日までに三〇年以上継続して弁護士業に就いていた。

(四)第一〇〇条または第一〇二条(一)(二)(四)(五)(六)(七)(一三)あるいは(一四)に基づく禁止様態にない。

(五)衆議院議員、参議院議員、政治職公務員、地方議会議員もしくは地方行政者ではない。

(六)就任前の三年間に政党の党員または他の役職にあったことがない。

(七)選挙委員、國会オンブズマン、國家汚職防止取締委員、國家会計検査委員、もしくは國家人権委員ではない。

 

第二〇六条(有識者判事の選出)

第二〇四条(三)及び(四)に基づく憲法裁判所判事の選考及び選出は以下のようにこれをなす。

(一)最高裁判所長官、最高行政裁判所長官、衆議院議長、衆議院野党指導者、及び憲法に基づく独立機関の長が互選した一人で構成する憲法裁判所判事選考委員会を設置し、第二〇四条

(三)及び(四)に基づく有識者を選出しなければならない事由が発生した日から三〇日以内に、選考、選出し、選出を受けた者の同意を得た上で参議院議長に提出する。当該選出の決議は公開投票によってこれをなし、現有委員総数の三分の二以上の票数を要する。いずれかの地位にある委員がいない、もしくはいたとしても職務を遂行できない場合、残有委員数が半数以上であれば、憲法裁判所判事選考委員会は残有委員によって構成される。ここに第一一三条第二段の規定を準用する。

(二)参議院議長は指名リストを受け取った日から三〇日以内に、(一)に基づき選出された者を承認決議するため参議院会議を召集する。決議は秘密投票方式を採用する。参議院が承認した場合、参議院議長は任命のために奏上する。参議院が全員または一部承認しなかった場合、承認されなかった者の氏名をその事由と共に憲法裁判所判事選考委員会に差し戻す。憲法裁判所判事選考委員会が参議院の決議に同意せず、全員一致で元の決議を支持する決議をなした場合、参議院議長は任命のため奏上する。全員一致とならなかった場合は新たな選考手続に入る。新たな選考手続は当該手続が必要となった事由が生じた日から三〇日以内に完了しなければならない。

事由がどうであれ期限内に(一)に基づく有識者の選考ができない場合、最高裁判所総会が最高裁判所裁判官以上の地位にある最高裁判所の裁判官を三人、及び最高行政裁判所判事総会が最

 

 

高行政裁判所判事を二人選出し、代わりに(一)に基づく手続きのための選考委員とする。

 

 

第二〇七条(禁止様態)

憲法裁判所長官及び憲法裁判所判事は以下に該当していなければならない。

(一)職位もしくは月給を有する公務員ではない。

(二)國の機関、國営企業もしくは地方行政体の職員または被雇用者ではない、あるいは國営企業または國の機関の役員もしくは顧問ではない。

(三)営利もしくは利益配当を目的とするパートナーシップ、会社あるいはビジネス組織の役職者ではなく、またはいずれかの者の被雇用者ではない。

(四)他の自営業を営んでいない。

最高裁判所総会、最高行政裁判所判事総会もしくは参議院において、本人の同意を得た上で

(一)(二)(三)または(四)に基づく者を選出または承認した場合、選出された者は選出または承認された日から一五日以内に(一)(二)または(三)に基づく職を辞任した時、またはその自営業を廃業したと信じるに足る証拠を示した時に、職務遂行を開始することができるが、その者が所定の期間内に辞任あるいは自営業を廃業しなかった場合は、その者は憲法裁判所判事に選出または承認されなかったものとみなし、第二〇四条及び第二〇六条の規定を適用する。

 

第二〇八条(任期)

憲法裁判所長官及び憲法裁判所判事の任期は國王が任命した日から九年とし、 一期のみとする。

任期満了にともない退任する憲法裁判所長官及び憲法裁判所判事は新たに任命される憲法裁判所長官及び憲法裁判所判事が就任するまで職務を継続する。

憲法裁判所長官及び憲法裁判所判事は法律に基づく司法官とする。

 

 

第二〇九条(退任)

任期満了にともなう退任以外に、憲法裁判所長官及び憲法裁判所判事は以下の時に退任する。

(一)死亡した。

(二)満七〇歳になった。

(三)辞任した。

(四)第二〇五条に基づく資格を失った、あるいは禁止様態にある。

(五)第二〇七条に違反する行為があった。

(六)参議院が第二七四条に基づき罷免を決議した。

(七)過失罪、軽犯罪または名誉毀損罪を除き、確定判決であるかどうか、刑執行猶予付きであるかどうかを問わず、禁固刑判決を受けた。

第一段に基づく事態が発生した場合、残有の憲法裁判所判事は第二一六条の適用下において職務を継続する。

 

 

 

 

第二一〇条(新たな選任)

憲法裁判所長官及び憲法裁判所判事全員が任期満了にともない退任した場合は、 退任日から三〇日以内に、第二〇四条及び第二〇六条に基づく手続きを開始する。

憲法裁判所長官もしくは憲法裁判所判事が第一段以外の事由で退任した場合は、以下の手続きをなす。

(一)最高裁判所総会で選出された憲法裁判所判事の場合は、第二〇四条に基づき、退任日から三〇日以内に選出を終了する。

(二)最高行政裁判所判事総会で選出された憲法裁判所判事の場合は、第二〇四条に基づき、退任日から三〇日以内に選出を終了する。

(三)第二〇四条(三)または(四)に基づく憲法裁判所判事の場合は、第二〇六条に基づき、退任日から三〇日以内に選出を終了する。

全員か一部かを問わず、憲法裁判所判事が國会会期外の時期に退任する場合は、國会開会日から三〇日以内に第二〇六条に基づき手続きをなす。

憲法裁判所長官が退任する場合は、第二〇四条第三段の規定を適用する。

 

 

第二一一条(法律の合憲性判断)

裁判所が法律の規定を何らかの訴訟に適用する際、その法律の規定が第六条の規定に該当すると裁判所自身が判断し、あるいは訴訟当事者が申し立て、その規定に係る憲法裁判所の裁定がまだない場合、その見解を正式に憲法裁判所に送付して、その裁定を求める。裁定が出るまで裁判所は審理を続けることはできるが、判決は憲法裁判所の裁定が出るまで待つ。

憲法裁判所が第一段に基づく訴訟当事者の申立は裁定のために受理すべきでないと判断した場合は、憲法裁判所はその件を棄却することができる。

憲法裁判所の裁定はあらゆる訴訟に適用することができるが、裁判所のすでに確定した判決には影響しない。

 

第二一二条(國民の憲法判断請求権)

本憲法が保障した権利もしくは自由を侵害された者は、法律の規定が憲法に抵触または反しているかどうか裁定してもらうために憲法裁判所に申し立てる権利を有する。

第一段に基づく権利行使は別の方法による権利行使ができない場合でなければならない。ここに憲法訴訟についての憲法付属法令の規定に従う。

 

第二一三条(権限)

職務遂行において、憲法裁判所は審理のために、いずれかの者に関連する書類もしくは証拠の提出を求め、または証言させるために召喚する権限、ならびに捜査官、官公庁、國の機関、國営企業あるいは地方行政体に何らかの行動を求める権限を有する。

 

 

憲法裁判所は委任に基づく職務を遂行する個人もしくはグループを任命する権限を有する。

 

 

第二一四条(権限領域裁定)

國会、内閣または裁判所ではない憲法に基づく機関の二機関以上の間で職務権限に係る対立がある場合、國会議長、内閣総理大臣またはその機関は裁定のために憲法裁判所に見解と共にその件を提出する。

 

第二一五条(既定案件の不受理原則)

憲法裁判所の審理のために提出された内容または事項がすでに審理し裁定したものであると判断した場合、憲法裁判所は当該内容または事項を棄却することができる。

 

第二一六条(裁定)

審理及び裁定における憲法裁判所の法廷は判事五人以上で構成する。憲法裁判所の裁定は本憲法に別段の規定がある場合を除き多数決による。

法廷を構成する憲法裁判所判事全員は裁定における自己の見解をまとめ、決議前に会議で表明する。

憲法裁判所の裁定及び憲法裁判所判事全員の決定における見解は官報で公示する。

憲法裁判所の裁定には、少なくとも経緯もしくは容疑、審議により得た事実の要約、事実関係の問題における裁定の事由及び法律事項、ならびに準拠する憲法及び法律の規定で構成しなければならない。

憲法裁判所の裁定は絶対的なものとし、國会、内閣、裁判所及び國の他の機関を拘束する効力を有する。

憲法裁判所の審理は憲法訴訟についての憲法付属法令に従う。

 

 

第二一七条(事務局)

憲法裁判所は独立した事務局を有し、憲法裁判所事務局長を憲法裁判所長官直属の長とする。憲法裁判所事務局長の任命は、法律が規定するところに基づき憲法裁判所長官が提案し、憲法

裁判所総会が承認しなければならない。

憲法裁判所事務局は法律の規定に基づき人事、予算及び他の活動を独立して運営する。第三節 司法裁判所

第二一八条(審判権限)

司法裁判所は、本憲法もしくは法律が他の裁判所の権限として規定する訴訟以外のあらゆる訴訟を審判する権限を有する。

 

 

第二一九条(三審制と政治職刑事訴訟部)

司法裁判所は、本憲法もしくは他の法律に別段の規定がある場合を除き、第一審裁判所 、控訴審裁判所及び最高裁判所の三段階制とする。

最高裁判所は憲法もしくは法律が最高裁判所への直接の提出を規定した訴訟、及び法律の規定に基づく第一審裁判所もしくは控訴審裁判所の判決または命令への控訴あるいは上告を審判する権限を有する。ただし最高裁判所がその控訴または上告の法律事項または事実関係が審理に相当ではないと判断した場合、最高裁判所はこれを受理しない権限を有する。ここに最高裁判所総会が定めた規則に従う。

最高裁判所は衆議院議員選挙における選挙及び選挙権取消、及び参議院議員選出に係る訴訟を審理、判定する権限を有し、控訴審裁判所は地方議会議員及び地方行政者の選挙において選挙及び選挙権取消に係る訴訟を審理、判定する権限を有する。ここにその審理、判定は最高裁判所総会が定めた規則に従い、検査システムを使用し、迅速でなければならない。

最高裁判所に政治職者刑事訴訟部を設置する。判事団は最高裁判所総会の秘密投票で選出された最高裁判所裁判官の地位以上の最高裁判所判事または最高裁判所裁判官以上の地位についたことのある上級裁判官九人で構成し、訴訟ごとに選出される。

最高裁判所政治職者刑事訴訟部の職務権限及び政治職者刑事訴訟の審理方法は、本憲法及び政治職者刑事訴訟についての憲法付属法令の規定に従う。

 

第二二〇条(人事)

司法裁判所裁判官の任命及び解任では、奏上前に司法裁判所法務委員会の承認を得なければならない。

司法裁判所裁判官の昇級、昇給及び処罰では、事前に司法裁判所法務委員会の承認を得なければならない。その際、司法裁判所法務委員会は裁判所の段階ごとに小委員会を設置し、その件について答申させ、審議の参考にする。

第一段及び第二段に基づく司法裁判所法務委員会の承認では、当該人物の知識・能力と倫理状況を重要なものとして考慮しなければならない。

 

第二二一条(法務委員会)

司法裁判所法務委員会は以下の者で構成する。

(一)最高裁判所長官の委員長。

(二)各段階の裁判所の司法公務員からそれぞれ選出された有識者委員。すなわち最高裁判所からの六人、控訴審裁判所からの四人、第一審裁判所からの二人

(三)司法公務員ではない者から参議院が選出する有識者委員二人。有識者委員の資格、禁止様態及び選出方法は法律の規定に従う。

第一段(三)に基づく有識者委員がいない、もしくはいても二人に達しない場合、七人以上の司法裁判所法務委員が承認しなければならない緊急な件と判断すれば、その人数で司法裁判所法

 

 

務委員会及びその会議は成立し、その緊急案件を審議することができる。

 

 

第二二二条(事務局)

司法裁判所は独立した司法裁判所事務局を有し、司法裁判所事務局長を最高裁判所長官直属の長とする。

司法裁判所事務局長の任命は、法律が定めたところに基づき、最高裁判所長官が提案し、司法裁判所法務委員会の承認を得なければならない。

司法裁判所事務局は法律が定めたところに基づき、人事、予算及びその他の活動において独立して運営する。

 

第四節 行政裁判所

 

 

第二二三条(審判権限)

行政裁判所は法律の規定に基づき、官公庁、國の機関、國営企業、地方行政体もしくは憲法に基づく機関、または國の職員と民間との間、あるいは官公庁、國の機関、國営企業、地方行政体もしくは憲法に基づく機関、または國の職員間の係争に関する訴訟を審判する権限を有する。その係争とは、官公庁、國の機関、國営企業、地方行政体もしくは憲法に基づく機関、または國の職員が法律に基づく行政権限の行使、あるいは行政上の事業実施に起因するものとする。行政裁判所は憲法または法律が行政裁判所の権限と規定した件について審判する権限を有する。

第一段に基づく行政裁判所の権限には憲法に基づく機関の憲法に基づく直接的な権限行為である決定は含まない。

最高行政裁判所及び第一審行政裁判所を設置する。また控訴審行政裁判所も設置することができる。

 

第二二四条(判事の任命)

行政裁判所判事の任命及び解任は、法律に基づき奏上前に行政裁判所法務委員会の承認を得なければならない。

法律学の有識者及び國政における有識者は最高行政裁判所判事に任命されることができる。当該有識者の最高行政裁判所判事への任命では、最高行政裁判所判事総数の三分の一以上になるようにし、法律の規定に基づき奏上前に行政裁判所法務委員会の承認及び参議院の承認を得なければならない。

行政裁判所判事の昇級、昇給及び処罰では、法律の規定に基づき行政裁判所法務委員会の承認を得なければならない。

各段階での行政裁判所判事数は行政裁判所法務委員会の規定に従う。第二二五条(長官の任命)

 

 

行政裁判所判事の最高行政裁判所長官への任命では、行政裁判所法務委員会及び参議院の承認を得た後に、内閣総理大臣が任命を求めて奏上する。

 

第二二六条(法務委員会)

行政裁判所法務委員会は以下の者で構成する。

(一)最高行政裁判所長官の委員長。

(二)行政裁判所判事の中から行政裁判所判事が互選する有識者委員九人。

(三)参議院が選出する有識者委員二人及び内閣が選出する有識者委員一人。有識者委員の資格、禁止様態及び選出方法は法律の規定に従う。

第一段(三)に基づく有識者委員がいない、もしくはいても三人に達しない場合、六人以上の行政裁判所法務委員が承認しなければならない緊急な件と判断すれば、その人数で行政裁判所法務委員会及びその会議は成立し、その緊急案件を審議することができる。

 

第二二七条(事務局)

行政裁判会所は独立した行政裁判所事務局を有し、行政裁判所事務局長を最高行政裁判所長官直属の長とする。

行政裁判所事務局長の任命は法律の規定に基づき、最高行政裁判所長官の提案により行政裁判所法務委員会の承認を得なければならない。

行政裁判所事務局は法律の規定に基づき、人事、予算及びその他の活動を独立して運営する。第五節 軍事裁判所

第二二八条(審判権限と任命)

軍事裁判所は法律の規定に基づき、軍事裁判所の権限内に属する者の違反行為の刑事訴訟及びその他の訴訟を審判する権限を有する。

軍事裁判所判事の任命及び解任は法律の規定に従う。第一一章 憲法に基づく機関

第一節 憲法に基づく独立機関一、選挙委員会

第二二九条(構成)

選挙委員会は政治的に中立で、かつ誠実公正な者の中から、参議院の助言に基づき國王が任命する委員長一人と他の委員四人で構成する。

 

 

参議院議長は第一段に基づく委員長及び委員任命の勅命に副署する。

 

 

第二三〇条(委員資格)

選挙委員は以下の資格を有し、かつ禁止様態にあってはならない。

(一)満四〇歳以上である。

(二)学士もしくは学士と同等の学歴がある。

(三)第二〇五条(一)(四)(五)及び(六)に基づく資格を有し、かつ禁止様態にない。

(四)憲法裁判所判事、國会オンブズマン、國家汚職防止取締委員、國家会計検査委員、もしくは國家人権委員ではない。

第二〇七条の規定を選挙委員にも準用する。

 

 

第二三一条(委員選出)

選挙委員会の委員長及び委員の選考と選出は以下のようにこれをなす。

(一)最高裁判所長官、憲法裁判所長官、最高行政裁判所長官、衆議院議長及び衆議院野党 指導者、最高裁判所総会が選出した一人、最高行政裁判所判事総会が選出した一人を委員とし、選挙委員として相応しい第二三〇条に基づく資格を有する者を三人選出して、その承諾を得た上 で参議院議長に推薦する任務を果たす七人の選挙委員選考委員会を設置する。その選考決議には 現有委員総数の三分の二以上の支持がなければならない。いずれかの地位に基づく委員がいない、もしくはいたとしても任務を果たせない場合は、残りの委員が半数以上いれば選挙委員選考委員 会は現有委員により構成される。ここに第一一三条第三段の規定を準用する。

第一段に基づき最高裁判所総会及び最高行政裁判所判事総会が選ぶ者は裁判官または判事であってはならず、同時に他の憲法に基づく機関内の地位者選考委員であってはならない。

(二)最高裁判所総会が選挙委員として相応しい第二三〇条に基づく資格を有する者二人を選考し、その者の承諾を得た上で参議院議長に推薦する。

(三)(一)及び(二)に基づく選考は、当該地位者を選出しなければならない事由が生じた日から三〇日以内にこれをなす。期限内に選考できない、もしくは(一)に基づく定数に達しない場合は、最高裁判所総会が代わりに期限日から一五日以内に(一)に基づく定数全員を選考する。

(四)参議院議長は(一)(二)及び(三)に基づき推挙された者の選出決議のために参議院会議を召集する。決議は秘密投票による。

(五)参議院が承認した場合は(六)に基づく手続きを取る。参議院が全員もしくはその一部を承認しなかった場合、新たな選考のために承認しなかった者の氏名を選挙委員選考委員会、もしくは最高裁判所総会に送付する。選考委員会または最高裁判所総会が参議院に同意せず、全員一致もしくは最高裁判所総会の三分の二以上の票数で元の決議を支持する決議をなした場合、

(六)に基づく手続きを取る。元の決議を支持する決議が全員一致ではない、もしくは定められた票数に足しない場合は新たな選考手続に入り、当該手続を取らなければならない事由が生じた

 

 

日から三〇日以内に完了しなければならない。

(六)(四)または(五)に基づき承認を受けた者は会議を開き、一人を選挙委員長に互選し、参議院議長に報告する。参議院議長は任命のためにその旨を國王に奏上する。

 

第二三二条(任期・退任)

選挙委員の任期は國王の任命日から七年とし、一期のみとする。

任期満了にともない退任する選挙委員は、新たに選出される選挙委員が就任するまで職務を継続するために任に留まる。

第二〇九条(一)(二)(三)(五)(六)(七)の規定及び第二三〇条に基づく資格及び禁止様態を選挙委員の退任に準用する。

 

第二三三条(國会議員による申立)

衆議院議員、参議院議員もしくは両院議員は、両院議員総数の一〇分の一以上の連名により 、いずれかの選挙委員が第二三〇条に基づく資格を喪失した、あるいは禁止様態にある、または禁止行為があったと國会議長に申し立てる権限を有し、國会議長はその申立を受理した日から三日以内に憲法裁判所にその申立を送付する。

憲法裁判所は裁定後、その裁定結果を國会議長及び選挙委員長に通知する。第九二条の規定を選挙委員の退任にも準用する。

 

第二三四条(補欠選出)

選挙委員全員が任期満了にともない退任した場合は、退任日から九〇日以内に第二三一条に基づく手続きをとる。

選挙委員が任期満了以外の事由で退任した場合は、第二三一条を補欠の委員の選考及び任命に準用する。その際、当該事由が生じた日から六〇日以内に手続きを終了し、選出された者の任期は前任者の残りの任期に等しいものとする。

 

第二三五条(選挙監督)

選挙委員会は衆議院議員、参議院議員、地方議会議員及び地方行政者の選挙または選出、ならびに國民投票を監督し、公正かつ公平に実施する、あるいは実施させる。

選挙委員長を衆議院議員選挙及び参議院議員選出についての憲法付属法令、政党についての憲法付属法令、國民投票についての憲法付属法令及び地方議会議員または地方行政者選挙についての法令の主務者かつ政党の登録官とする。

法律の規定に基づき人事、予算及びその他の活動において独立した選挙委員会事務局を置く。

 

 

第二三六条(権限)

選挙委員会は以下の職務権限を有する。

 

 

(一)第二三五条第二段に基づく法律の遵守に必要な諸規定を公示もしくは制定し、政党、立候補者、選挙権者の選挙運動及び行動に係る規則を公正かつ公平なものにするために制定し、選挙運動における平等性及び均等な機会を有するための國の選挙支援原則を定める。

(二)第一八一条に基づく職務遂行のため在任時の内閣及び國務大臣の職務遂行における禁止事項に係る規則を制定する。このとき國益保護に留意するとともに選挙における公正、公平、平等性及び均等な機会を考慮する。

(三)政党に対する資金寄付、國による資金支援、政党及び立候補者の資金支出の監督方法、ならびに公開による政党の会計検査、投票のための金銭授受監視を定める。

(四)公務員、官公庁、國の機関、國営企業もしくは地方行政体の職員または被雇用者、あるいは國のその他の職員に、第二三五条第二段に基づく法律の施行に必要な遂行を命じる。

(五)第二三五条第二段に基づく法律に従い発生する問題もしくは争点について事実関係を集め、判定するために捜査する。

(六)選挙または國民投票が公正かつ公平に実施されなかったと信じるに足る証拠がある時、特定の投票所もしくはすべての投票所の選挙または國民投票のやり直しを命じる。

(七)選挙、選出及び國民投票の結果を公示する。

(八)國王を元首とする民主主義統治制度に係る國民向けの教育において官公庁、國の機関、國営企業もしくは地方行政体と振興及び支援または連絡調整し、民間団体を支援するとともに、國民の政治参加を振興する。

(九)法律が規定するその他の職務を遂行する。

職務において、選挙委員会はいずれかの者に関係する資料あるいは証拠を提出させ、または証言させるとともに、検察官、捜査官、官公庁、國の機関、國営企業もしくは地方行政体に職務遂行、捜査、取り調べ、あるいは判定のための行動を求める権限を有する。

選挙委員会はいずれかの者、グループもしくは民間団体の代表を任命し、職務を委任する権限を有する。

 

第二三七条(選挙権取消

衆議院議員選挙及び参議院議員選出についての憲法付属法令、もしくは選挙委員会の規則または布告への違反となる行為をなし、あるいは別の者が違反するよう支援し、結果として選挙を公正かつ公平でなくした立候補者は、衆議院議員選挙及び参議院議員選出についての憲法付属法令に基づき選挙権を剥奪する。

第一段に基づく者の行為について、政党の党首もしくは執行委員がその行為を認知、または放置し、あるいは知っていながら公正かつ公平な選挙のために制止または解決しようとしなかったと信じられる証拠が明らかであれば、その政党は第六八条に基づく本憲法が規定する方法に拠らない國の統治権の奪取行為をなしたものとみなし、憲法裁判所がその政党の解散を命じた場合、当該政党の解散命令日から五年間にわたってその政党の党首及び執行委員の選挙権を剥奪する。

 

 

第二三八条(不正調査)

選挙委員会は以下のいずれかの場合に該当する時、ただちに事実関係収集のため捜査取り調べを実施しなければならない。

(一)いずれかの選挙区において選挙権者、立候補者もしくは党員が立候補した政党が、その選挙区の選挙が不正または違法に実施されたと申し立てた。

(二)第一一四条第一段に基づく候補者もしくは団体の構成員がその参議院議員選出が不正または違法に実施されたと申し立てた。

(三)衆議院議員、参議院議員、地方議会議員もしくは地方行政者が当選または選出前に、衆議院議員選挙及び参議院議員選出についての憲法付属法令、政党についての憲法付属法令、または地方議会議員あるいは地方行政者選挙についての法令に違反して、自己が当選するために不正をなした、またはいずれかの者あるいは政党の行為により不正に当選したと信じるに足る証拠が明らかになった。

(四)國民投票が違法に実施されたと信じるに足る証拠が明らかになった、または選挙権者により、ある投票所の投票が不正あるいは違法に実施されたと申し立てがあった。

第一段に基づく手続き後、選挙委員会はただちに審査・決定しなければならない。

 

 

第二三九条(選挙結果と見直し)

選挙委員会が衆議院または参議院選挙結果の発表前に新たな選挙実施もしくは選挙権取消を決定した場合、選挙委員会の決定は最終的なものとする。

選挙結果の発表後である場合、選挙委員会が衆議院議員または参議院議員の新たな選挙実施またはいずれかの者の選挙権の取消が相当と判断したとき、裁定のため最高裁判所に申し立てる。その衆議院議員または参議院議員は最高裁判所が申し立ての却下を命じるまで職務を遂行する ことはできない。最高裁判所がいずれかの選挙区で新たな選挙の実施を、もしくはいずれかの衆議院議員または参議院議員の選挙権取消を命じた場合、その選挙区の衆議院議員または参議院議員の議員資格はなくなる。

職務遂行ができなくなった第二段に基づく者を衆議院または参議院の現有議員人数に含めることはできない。

第一段、第二段及び第三段の内容を地方議会議員及び地方行政者の選挙にも準用する。第二段に基づく裁判所への申し立ては控訴審裁判所に提出し、控訴審裁判所の命令は最終的なものとする。

 

第二四〇条(参議院議員選出のやり直し)

いずれかの参議院議員の選出が不正または違法であるとの申し立てがあった、もしくは選出前にいずれかの参議院議員に第二三八条に基づく行為があったと信じられる証拠が明らかになった場合、選挙委員会はただちに捜査取り調べを進める。

選挙委員会が何らかの命令を決定した時、裁定のため直ちに最高裁判所に提出し、その参議院

 

 

議員の職務遂行不可について第二三九条第二段及び第三段の内容を準用する。

最高裁判所がいずれかの参議院議員の選出取消または選挙権剥奪を命じた場合、その参議院議員の議員資格は最高裁判所の命令日をもってなくなり、代わりの新たな参議院議員選出手続を進める。

第一段または第二段に基づく手続きにおいて、選挙委員長はその手続または命令決定に関与することはできず、選挙委員会は現有人数で構成される。

選挙委員会の異議及び審査は衆議院議員選挙及び参議院議員選出についての憲法付属法令の規定に従う。

 

第二四一条(委員の不逮捕特権)

衆議院議員または参議院議員選挙実施の勅令、参議院議員選出実施の布告もしくは國民投票実施の布告の施行中は、 選挙委員会の許可を受けた場合あるいは現行犯の場合を除き、選挙委員を逮捕、拘禁あるいは喚問することを禁じる。

選挙委員が現行犯で逮捕された、または他の場合に選挙委員が逮捕もしくは拘禁された場合は、緊急に選挙委員長に報告する。選挙委員長は逮捕された者の釈放を命じることができる。選挙委 員長が逮捕、拘禁された場合、釈放命令は現有人数の選挙委員会の権限とする。

 

二、國家オンブズマン

 

 

第二四二条(任命)

國家オンブズマンは、國民に信頼され、國政、経済活動もしくは公共の利益のための活動において知識及び経験を有し、かつ誠実公正な者の中から参議院の助言により國王が任命する三人とする。

國家オンブズマンとして選出された者は会議を開き、一人を國家オンブズマン長官に互選し、その結果を参議院議長に通知する。

参議院議長は國家オンブズマン長官及び國家オンブズマン任命の勅命に副署する。

國家オンブズマンの資格、禁止様態は國家オンブズマンについての憲法付属法令に従う。國家オンブズマンの任期は國王が任命した日から六年とし、一期のみとする。

法律の規定に基づき人事、予算及びその他の活動において独立した國家オンブズマン事務局を置く。

 

第二四三条(選出方法)

國家オンブズマンの選考及び選出に第二〇六条及び二〇七条の規定を準用し、その選出委員会は最高裁判所長官、憲法裁判所長官、最高行政裁判所長官、衆議院議長、衆議院野党指導者、最高裁判所総会が選ぶ一人、最高行政裁判所判事総会が選ぶ一人の合計七人からなり、第二三一条

(一)第二段の規定を準用する。

 

 

 

 

第二四四条(権限)

國家オンブズマンは以下の職務権限を有する。

(一)以下の場合、申し立てにより事実を審査、調査する。

(a)公務員、官公庁、國の機関、國営企業もしくは地方行政体の職員または被雇用者の法律不遵守、あるいは法律に基づく職務権限からの逸脱。

(b)職務権限に基づき正当か不当かを問わず、申立人もしくは國民に不公正な損害を与えた公務員、官公庁、國の機関、國営企業もしくは地方行政体の職員または被雇用者の職務遂行あるいは職務怠慢。

(c)憲法に基づく機関及び司法プロセス内の機関の不法な職務怠慢または職務遂行の調査。ここに裁判所の審判は含まない。

(d)法律が規定するその他の場合。

(二)第二七九条第三段及び第二八〇条に基づく政治職者及び國の職員の倫理に係る実施。

(三)憲法遵守における追跡、評価及び提言に加えて、必要と判断した場合は憲法改正の論点の提言。

(四)見解を付した検査結果及び業績の報告を毎年作成し、内閣、衆議院及び参議院に提出する。ここに当該報告は官報で公示し、公表する。

(一)(a)(b)及び(c)に基づく権限行使は申し立てがあった時にこれをなすことができるが、当該行為が國民全体に影響を及ぼすと判断した場合、もしくは公益保護のための場合、國家オンブズマンは申し立てがなくても審査及び調査することができる。

 

第二四五条(裁判所への送致)

國家オンブズマンが以下の場合であると判断した場合、憲法裁判所もしくは行政裁判所に送致することができる。

(一)いずれかの法律の規定が憲法に照らして問題がある場合、見解を付して憲法裁判所に送致し、憲法裁判所は憲法訴訟についての憲法付属法令に基づき遅滞なく審判する。

(二)規定、命令、もしくは第二四四条(一)(a)に基づく者の行為が憲法または法律に照らして問題を有すると判断した場合は、見解を付してその件を行政裁判所に送致し、行政裁判所は行政裁判所設置及び行政訴訟についての法令に基づき遅滞なく審判する。

 

三、國家汚職防止取締委員会

 

 

第二四六条(構成)

國家汚職防止取締委員会は、國王が参議院の助言により任命する委員長一人及びその他の委員八人で構成する。

國家汚職防止取締委員は誠実公正で、第二〇五条に基づく資格を有し、かつ禁止様態にない者

 

 

でなければならず、國務大臣、選挙委員、國家オンブズマン、國家人権委員、もしくは國家会計 検査委員であった者、あるいは局長以上の公務員または局長と同等の権限を有する官公庁の管理 職者、教授以上の地位、民間開発団体代表または法律に基づく職業団体を有する職業を三〇年以 上営んだ者でなければならない。ここにその民間開発団体または職業団体はその推薦者を保証し、選出手続にあたって氏名を提出する。

國家汚職防止取締委員の選考及び選出に第二〇四条第三段及び第四段と第二〇六条及び第二〇七条の規定を準用する。選考委員会は最高裁判所長官、憲法裁判所長官、最高行政裁判所長官、衆議院議長及び衆議院野党指導者の五人からなる。

参議院議長は國家汚職防止取締委員長及び國家汚職防止取締委員任命の勅命に副署する。

県汚職防止取締委員を置く。その資格、選考手続及び職務権限は汚職防止取締についての憲法付属法令の規定に従う。

 

第二四七条(任期)

國家汚職防止取締委員の任期は國王による任命日から九年とし、一期のみとする。

任期満了にともない退任する國家汚職防止取締委員は、新たに任命される委員が就任するまで職務を継続しなければならない。

國家汚職防止取締委員の退任、ならびに補欠委員の選考及び選出に、第二〇九条及び第二一〇条の規定を準用する。

 

第二四八条(弾劾請求)

衆議院議員は現有衆議院議員総数の四分の一以上の連名で、もしくは選挙権を有する國民は二万人以上の連名で、いずれかの國家汚職防止取締委員に公正を欠く行為があった、憲法もしくは法律に故意に違反した、または地位の名誉を損なう重大な行状があったことを参議院議長に申し立て、参議院に罷免決議を請求する権利を有する。

第一段に基づく参議院の國家汚職防止取締委員の罷免決議には、現有参議院議員総数の四分の三以上の票数を要する。

 

第二四九条(不正委員への告訴)

衆議院議員、参議院議員もしくは両院議員は両院の現有議員総数の五分の一の連名で、いずれかの國家汚職防止取締委員に異常蓄財、背任行為あるいは公務上の地位に対する違反があったことを最高裁判所政治職者刑事訴訟部に告訴する権利を有する。

第一段に基づく告訴では、第一段に基づく規定に違反した容疑の状況を事項ごとに明記し、参議院議長に提出する。参議院議長が申し立てを受理した後、審判のために最高裁判所政治職者刑事訴訟部に送致する。

嫌疑ある國家汚職防止取締委員は、最高裁判所政治職者刑事訴訟部がその告訴を棄却するまで職務を遂行することはできない。

 

 

國家汚職防止取締委員が第三段に基づき職務遂行ができず、残りの國家汚職防止取締委員が國家汚職防止取締委員総数の半数に達しない場合、最高裁判所長官及び最高行政裁判所長官は共同で國家汚職防止取締委員と同様の資格を有し、かつ禁止様態にない者を任命し、一時的に國家汚職防止取締委員として職務遂行させる。任命を受けた者は当該國家汚職防止取締委員が職務遂行できるまで、もしくは最高裁判所政治職者刑事訴訟部が当該國家汚職防止取締委員に違反があったことを判決するまで地位に留まる。

 

第二五〇条(権限)

國家汚職防止取締委員会は、以下の職務権限を有する。

(一)第二七二条及び第二七九条第三段に基づき事実関係を調査し、罷免に係る見解を付した調書を参議院に提出する。

(二)第二七五条に基づき事実関係を調査し、政治職者の刑事訴訟に係る見解を付した調書を最高裁判所政治職者刑事訴訟部に提出する。

(三)汚職防止取締についての憲法付属法令に基づき、上級管理職もしくは課長級以上の地位にある國の職員または公務員の異常蓄財、背任もしくは公務上の地位・義務に対する違反、または司法上の地位・義務に対する違反について検査・判定し、当該職位者または政治職者とともに違反行為をなした下級職にある國の職員または公務員に対する手続きを進める。

(四)第二五九条及び第二六四条に基づく政治職者の財産及び負債について、提出されたリスト及び付属書類に照らしてその正否及び実在、または変化について検査する。ここに國家汚職防止取締委員会が定めた原則及び方法に従う。

(五)政治職者の道徳及び倫理を監督する。

(六)毎年、見解を付した検査報告及び活動報告を内閣、衆議院及び参議院に提出し、その報告を官報で公示、公開する。

(六)法律が規定するその他の職務を遂行する。

第二一三条の規定を國家汚職防止取締委員会の職務遂行にも準用する。

國家汚職防止取締委員長及び國家汚職防止取締委員を法律に基づく司法官とする。

 

 

第二五一条(事務局)

國家汚職防止取締委員会は独立した國家汚職防止取締委員会事務局を有し、國家汚職防止取締委員会事務局長を國家汚職防止取締委員長直属の長とする。

國家汚職防止取締委員会事務局長の任命には、國家汚職防止取締委員会及び参議院の承認を要する。

國家汚職防止取締委員会事務局は法律の規定に基づき、独立して人事、予算及びその他の活動を運営する。

 

四、國家会計検査委員会

 

 

 

 

第二五二条(國家会計検査委員会)

國家会計検査は、國家会計検査委員会が独立して、かつ中立にこれをなす。

國家会計検査委員会は、國家会計検査、会計、内部監査、金融財政及びその他の分野の専門性と経験を有する者の中から國王が任命する委員長一人及びその他の委員六人で構成する。

國家会計検査委員及び國家会計検査院総裁の選考・選出に第二〇四条第三段及び第四段、第二〇六条及び第二〇七条を準用する。ただし選考委員会の構成は第二四三条に従う。

参議院議長は國家会計検査委員会の委員長及び委員、ならびに國家会計検査院総裁任命の勅命に副署する。

國家会計検査委員の任期は國王が任命した日から六年とし、一期のみとする。

國家会計検査委員及び國家会計検査院総裁の資格、禁止様態、退任、ならびに國家会計検査委員会、國家会計検査院総裁及び國家会計検査院の職務権限は國家会計検査についての憲法付属法令に従う。

國家会計検査委員及び國家会計検査院総裁に任命される者の資格及び選出方法の規定は、適正資格を有し、かつ誠実公正な者を選出するため、またその者の職務の独立性を保障するために規定されなければならない。

 

第二五三条(職務権限)

國家会計検査委員会は会計検査に係る原則・標準を定め、会計検査に係る瑕疵を是正するよう答申、助言、提言する権限を有するほか、金融、財政及び予算上の規律に係る遂行を決定する職務を果たすため独立した金融・財政規律委員会を任命する権限を有する。当該の件における金融・財政規律委員会の決定に係る訴訟は行政裁判所の権限下にある訴訟とする。

会計検査院総裁は独立かつ中立的な会計検査に係る職務権限を有する。

 

 

第二五四条(会計検査院)

國家会計検査委員会は、國家会計検査委員会の事務局として独立した國家会計検査院を有し、國家会計検査院総裁を國家会計検査委員長直属の長とする。

國家会計検査院は法律の規定に基づき人事、予算及びその他の業務で独立した部署とする。第二節 憲法に基づくその他機関

一、検察機構

 

 

第二五五条(検察機構)

検察官は本憲法の規定、及び検察官の権限義務についての法律、その他の法律に基づく権限義務を有する。

 

 

検察官は起訴審査にあたって、また公正な職務遂行において独立性を有する。

検察総長の任命及び退任は検察委員会の決定に従い、参議院の承認を得なければならない。参議院議長は検察総長任命の勅命に副署する。

検察機構は法律の規定に基づき検察総長を監督者とする人事、予算及びその他の業務で独立した事務局を有する。

検察官は検察委員会の認可を受けずに國営企業の理事・取締役もしくは國のその他事業で同様な地位に就いてはならない。あるいは職務遂行に影響を及ぼす、もしくは地位・義務における尊厳を貶めるような職業を営む、またはそうした行為をなしてはならず、会社の取締役、経営者または法律顧問、もしくは近似した職務形態を有するその他の地位に就いてはならない。

第二〇二条の規定を準用する。二、國家人権委員会

第二五六条(任命)

國家人権委員会は、人権関連の民間団体代表の参加を考慮しつつ國民の自由権保護における知識もしくは経験を有する者の中から、参議院の助言により國王が任命する委員長一人及び六人のその他の委員で構成する。

参議院議長は國家人権委員会の委員長及び委員任命の勅命に副署する。國家人権委員の資格、禁止様態、解任及び報酬は法律の規定に従う。

國家人権委員の任期は國王が任命した日から六年とし、一期のみとする。

第二〇四条第三段、第二〇六条、第二〇七条及び第二〇九条(二)の規定を準用する。ただし選考委員会の構成は第二四三条に従う。

法律の規定に基づき人事、予算及びその他の業務で独立した國家人権委員会事務局を置く。

 

 

第二五七条(権限)

國家人権委員会は以下の職務権限を有する。

(一)人権侵害もしくはタイ國が加盟する人権に係る國際条約に反する行為または不作為について調査及び報告し、その行為もしくは不作為のあった者あるいは組織に適切な改善措置を勧告する。勧告に基づく改善がなかった場合は、國会に報告し、次の措置をとる。

(二)いずれかの法律の規定が人権に影響し、合憲性に係る問題があるとする訴えを承認した場合、憲法裁判所に見解とともにその件を提出する。ここに憲法訴訟についての憲法付属法令に従う。

(三)行政におけるいずれかの規定、命令、行為が人権に影響し、合憲性に係る問題があるとする訴えを承認した場合、行政法裁判所に見解とともにその件を提出する。ここに行政裁判所設置及び行政訴訟についての法令に従う。

(四)被害者からの苦情申し立てがあり、かつ人権侵害全般の問題解決のために望ましいと判

 

 

断した場合、法律の規定に基づき被害者に代わって司法裁判所に訴える。

(五)人権の振興及び保護のための政策及び法規の改正を國会または内閣に提言する。

(六)人権面において教育、研究を振興し、知識を普及させる。

(七)人権面において政府機関、民間団体その他の団体の協力及び事業調整を促進する。

(八)國内の人権における状況を評価するために年次報告を作成し、國会に提出する。

(九)法律が規定するその他の職務権限。

職務遂行において、國家人権委員会は國及び國民全体の利益に留意しなければならない。

國家人権委員会は法律の規定に基づき、いずれかの者に関連書類もしくは証拠を提出、証言させる権限を有するとともに、職務遂行のためのその他の権限を有する。

 

三、國家経済社会顧問会議

 

 

第二五八条(機能)

國家経済社会顧問会議は経済及び社会、関連法律に係る諸問題について内閣に答申及び提言することを任務とする。

國家経済社会開発計画及び法律の規定に基づくその他の計画は、実施布告を審議する前に、國家経済社会顧問会議の審議に諮らなければならない。

國家経済社会顧問会議の構成、人選、職務権限及び事業は法律の規定に従う。

法律の規定に基づき人事、予算及びその他の業務で独立した國家経済社会諮問会議事務局を置く。

 

 

 

第一二章 國権行使検査第一節 資産検査

第二五九条(政治職者の資産報告)

以下の政治職者は、就任もしくは退任時に、自己、配偶者及び未成年の子の財産・負債リストを國家汚職防止取締委員会に提出する義務を有する。

(一)内閣総理大臣。

(二)國務大臣。

(三)衆議院議員。

(四)参議院議員。

(五)その他の政治職公務員。

(六)法律の規定に基づく地方行政者及び地方議会議員。

第一段に基づくリストは、当該財産及び負債の実在を証明する証拠の謄本である付属書類、ならびに前税年度の個人所得申告書の謄本とともに提出する。

 

 

第一段及び第二段に基づく財産及び負債項目を示すリストの提出においては、直接的もしくは間接的に他者に占有または管理を委託した政治職者の財産も含める。

 

第二六〇条(提出期限)

第二五九条に基づく財産・負債リストには、就任日または退任日に実在する財産及び負債の項目を示し、以下の期間内に提出しなければならない。

(一)就任する場合は、就任日から三〇日以内に提出する。

(二)退任する場合は、退任日から三〇日以内に提出する。

(三)第二五九条に基づく者が、すでにリストを提出し、在任中に死亡した場合、または退任時にリストを提出する前に死亡した場合、相続人もしくは管財人がその政治職者が死亡した日から九〇日以内に、その政治職者が死亡した日に実在した財産・負債リストを提出する。

退任した内閣総理大臣、國務大臣、地方行政者、地方議会議員もしくは政治職者は、(二)に基づきリストを提出しなければならない上に、その退任日から一年が経過した日から三〇日以内に、改めて財産・負債リストを提出しなければならない。

 

第二六一条(資産の公開原則)

内閣総理大臣、國務大臣、衆議院議員及び参議院議員の財産・負債リストと付属書類は、そのリストを提出しなければならない期限日から三〇日以内に、速やかに公衆に公開する。他の政治職者のリストは、その公開が訴訟審理・判決あるいは裁定のために有益であり、かつ裁判所、利害関係者または國家会計検査委員会から請求があった時に公開することができる。

國家汚職防止取締委員長は当該財産及び債務の正否および実在についての審査のために、速やかに國家汚職防止取締委員会会議を召集する。

 

第二六二条(検査報告)

いずれかの政治職者が退任もしくは死亡したためにリストが提出された場合、國家汚職防止取締委員会はその政治職者の財産及び負債の変化について検査し、報告書を作成する。その報告は官報で公示する。

第一段に基づく政治職者の財産が異常に増えたことが明らかになった場合、國家汚職防止取締委員長は現有するすべての書類及び検査報告書を検察総長に送付し、最高裁判所政治職者刑事訴訟部はその異常に増えた財産を國庫に没収するための訴訟手続きをとる。ここに第二七二条第五段の規定を準用する。

 

第二六三条(資産報告義務不履行の場合)

政治職者が故意に本憲法が規定する財産・負債リスト及び付属書類を提出しなかった、または故意に虚偽の、あるいは通知すべき事実を隠蔽した財産・負債リスト及び付属書類を提出した場合、國家汚職防止取締委員会は裁定を求めて最高裁判所政治職者刑事訴訟部に送致する。

 

 

最高裁判所政治職者刑事訴訟部がいずれかの政治職者に第一段に基づく違反行為があったと裁定すれば、その者は最高裁判所政治職者刑事訴訟部の裁定日に退任する。ここに第九二条の規定を準用し、その者は最高裁判所政治職者刑事訴訟部の裁定日から五年間、何らかの政治的地位もしくは政党の何らかの地位に就くことを禁じる。

 

第二六四条(公務員への準用規定)

第二五九条、第二六〇条、第二六一条第二段、及び第二六三条第一段の規定を、國家汚職防止取締委員会が定めた國の職員にも準用する。

汚職防止取締についての憲法付属法令の規定に基づく訴訟手続きまたは違反行為の判定に資する場合、國家汚職防止取締委員会は利害関係者に対し提出された財産・負債リストと付属書類を公開することができる。

 

第二節 利益相反行為

 

 

第二六五条(國会議員の禁止行為)

衆議院議員及び参議院議員は以下の行為をなしてはならない。

(一)官公庁、國の機関または國営企業における地位もしくは職務に就く、あるいは地方議会議員、地方行政者、地方公務員になる。

(二)國、官公庁、國の機関または國営企業から事業権を得る、介入する、もしくは干渉する。あるいは國、官公庁、國の機関または國営企業との拘束形態を有する契約当事者になる。または事業権を得たパートナーシップもしくは会社のパートナー、株主になる。あるいは当該形態における契約当事者になる。ここに直接的か間接的かを問わない。

(三)官公庁、國の機関または國営企業の通常の事業・業務においてなされる以上の特別な金銭または何らかの利益を官公庁、國の機関または國営企業から得る。

(四)第四八条に基づく禁止行為をなす。

本条の規定は、衆議院議員または参議院議員が恩給、退職金、年金、王族年金、もしくは同様の形態にあるその他の金銭を受給する場合、及び衆議院議員または参議院議員が國会、衆議院、参議院の委員、もしくは國政運営において任命を受けた委員の地位に就く場合には適用しない。

(二)(三)及び(四)の内容を衆議院議員または参議院議員の配偶者及び子に、及び衆議院議員または参議院議員の配偶者及び子ではない本条に基づく行為のために衆議院議員または参議院議員の使用人、協力者もしくは委任された者の形態にある者にも適用する。

 

第二六六条(國会議員の干渉禁止事項)

衆議院議員または参議院議員は以下の件において、その地位を利用して直接的または間接的に自己、他者もしくは政党の利益のために干渉または介入してはならない。

(一)公務員、官公庁、國の機関、國営企業、國が大部分の株式を保有する事業、もしくは地

 

 

方行政体の職員または被雇用者の公務もしくは日常の職務遂行。

(二)職位または月給を有し、かつ政治公務員ではない公務員、官公庁、國の機関、國営企業、國が大部分の株式を保有する事業、もしくは地方行政体の職員または被雇用者の補充、任命、異動、移管、昇級及び昇給。もしくは

(三)職位または月給を有し、かつ政治公務員ではない公務員、官公庁、國の機関、國営企業、國が大部分の株式を保有する事業、もしくは地方行政体の職員または被雇用者の退任。

 

第二六七条(大臣の禁止行為)

法律の規定に基づく地位もしくは遂行を除き、第二六五条の規定を内閣総理大臣及び國務大臣にも適用し、利益追求、配当目的の事業を営むパートナーシップ、会社または団体における地位に就くこと、もしくはいずれかの者の被雇用者になることはできない。

 

第二六八条(大臣権限の制限)

内閣総理大臣及び國務大臣は第二六六条で規定された行為をなすことはできない。ただし國会で演説した施政方針または法律が規定したところに基づく公務における職務権限に従った行為はその限りではない。

 

第二六九条(大臣の株式保有禁止)

内閣総理大臣及び國務大臣はパートナーシップまたは会社のパートナーまたは株主であって はならない。あるいは法律が規定する数量に基づくパートナーシップまたは会社のパートナーまたは株主であることはできない。当該ケースで内閣総理大臣または國務大臣が受益を望む場合、その内閣総理大臣または國務大臣は任命日から三〇日以内に國家汚職防止取締委員長に通知し、他者の利益のため資産を管理する法人に当該パートナーシップまたは会社の株式を預託する。ここに法律の規定に従う。

内閣総理大臣及び國務大臣が第一段に基づくパートナーシップまたは会社の株式もしくは事業に係る経営あるいは管理に関与する形態にある行為をなすことを禁じる。

本条の規定を内閣総理大臣及び國務大臣の配偶者及び未成年の子にも適用し、第二五九条第三段の規定を準用する。

 

第三節 弾劾

 

 

第二七〇条(参議院の罷免権限)

内閣総理大臣、國務大臣、衆議院議員、参議院議員、最高裁判所長官、憲法裁判所長官、最高行政裁判所長官もしくは検事総長の地位にある者に、異常蓄財、職務上の不正、公務上の地位・義務に対する違反、司法上の地位・義務に対する違反、または憲法あるいは法律の規定に抵触する職務権限の故意の行使がある、あるいは倫理標準への重大な違反または不遵守があった場合、

 

 

参議院はその者を罷免する権限を有する。

第一段の規定は以下の地位にある者にも適用する。

(一)憲法裁判所判事、選挙委員、國会オンブズマン及び國家会計検査委員。

(二)汚職防止取締についての憲法付属法令に基づく裁判官もしくは判事、検察官または國の高官。

 

第二七一条(両院議員・國民の弾劾請求権)

衆議院議員は現有衆議院議員総数の四分の一以上の連名で、第二七四条に基づき参議院が第二七〇条に基づく者の罷免を決議するよう参議院議長に請求する権利を有する。その請求にあたってはその者の容疑の経緯を事項ごとに明記しなければならない。

参議院議員は現有参議院議員総数の四分の一以上の連名で、第二七四条に基づき参議院が参議院議員の罷免を決議するよう参議院議長に請求する権利を有する。

選挙権を有する國民は二万人以上の連名で第二七〇条に基づく者を第一六四条に基づき罷免するよう請求する権利を有する。

 

第二七二条(國家汚職防止取締委員会の調査)

第二七一条に基づく請求を受理した時、参議院議長は速やかに調査のために國家汚職防止取締委員会にその件を送付し、國家汚職防止取締委員会は速やかに調査を終える。

調査を終了した時、國家汚職防止取締委員会は報告を参議院に提出する。その報告では請求のあった容疑について確証の有無、証言の信憑性を明記し、どのような手続を取るべきかについての決定を示さなければならない。

國家汚職防止取締委員会が請求に基づくいずれかの容疑が重要だと判断した場合は、その事項に関する報告を作成し、先に審議するために第一段に基づき参議院に送付することができる。

國家汚職防止取締委員会がいずれかの容疑に確証があると現有委員総数の過半数の票数で決  議した場合、容疑を受けた者はその日から参議院の決議があるまで職務を継続することはできず、國家汚職防止取締委員長は第二七三条に基づく手続きをなすために参議院議長に、ならびに最高 裁判所政治職者刑事訴訟部に告発するために検察総長に、見解を付した報告及び現有する書類を 送付する。ただし國家汚職防止取締委員会が容疑には確証がないと判断した場合は、その容疑は 棄却される。

検察総長が第四段に基づき國家汚職防止取締委員会が送付した報告、書類及び見解が訴訟手続きには不十分だと判断した場合、検察総長は不十分な事項を是正するよう國家汚職防止取締委員会に通知する。その場合、國家汚職防止取締委員会及び検察総長は、同人数の双方の代表で構成する作業部会を設置し、十分な証拠を収集させ、訴訟手続きのために検察総長に送付させる。その作業部会が訴訟手続きに係る解決策を見出せない場合、國家汚職防止取締委員会は自ら告訴するか、弁護士を任命して告訴を代行させることができる。

 

 

第二七三条(参議院での審議)

第二七二条に基づく報告を受理した時、参議院議長は速やかにその件を審議するために参議院会議を開く。

國家汚職防止取締委員会が國会閉会中に報告を送付した場合、参議院議長は特別國会召集の勅命のために奏上するよう國会議長に通知し、國会議長が勅命に副署する。

 

第二七四条(参議院決議)

参議院議員は自由に投票することができ、それは秘密投票によらなければならない。罷免決議には現有参議院議員総数の五分の三以上の票数を要する。

罷免された者は参議院が罷免を決議した日をもって退任する、もしくは公務を離れ、五年間にわたって政治的地位あるいは公務に就く権利が剥奪される。

本条に基づく参議院の決議は最終的なものとし、同一の事由により改めてその者の弾劾を請求することはできないが、最高裁判所政治職者刑事訴訟部の審理には影響しない。

 

第四節 政治職者の刑事訴訟

 

 

第二七五条(政治職者刑事訴訟部)

内閣総理大臣、國務大臣、衆議院議員、参議院議員もしくはその他の政治職公務員に、異常蓄財、刑法典に基づく公務上の地位・義務に対する違反、またはその他の法律に基づく地位・義務に対する違反あるいは職務上の不正の容疑が生じた場合、最高裁判所政治職者刑事訴訟部はこれを審判する権限を有する。

第一段の規定は、その者もしくはその他の者が主犯者、教唆者あるいは共犯者だった場合、ならびに故意に職務上不正な行為、不作為、怠慢行為による第一段に基づく者への財産またはその他利益の供与者、要求者もしくは受領者にも適用する。

第二五〇条(二)に基づく手続きのための國家汚職防止取締委員会への申し立ては汚職防止取締についての憲法付属法令に従う。

第一段に基づく被疑者が内閣総理大臣、國務大臣、衆議院議長または参議院議長である場合、当該行為の被害者は第二五〇条(二)に基づく手続きのために國家汚職防止取締委員会に申し立てるか、第二七六条に基づく独立調査人の設置を請求するために最高裁判所総会に申し立てることができる。ただし被害者がすでに國家汚職防止取締委員会に申し立てた場合は、國家汚職防止取締委員会が調査手続きを却下した、手続きが不適当に遅延した、もしくは調査手続を取ったが容疑に基づく違反はなかったと判断した時に最高裁判所総会に申し立てることができる。

國家汚職防止取締委員会が第四段に基づくケースであると疑える相当の事由があると判断し、現有委員総数の半数以上の票数で第二五〇条(二)に基づく手続きをとることを決議した場合、國家汚職防止取締委員会は速やかに第二五〇条(二)に基づく手続きに入る。この場合、被害者は第四段に基づき最高裁判所総会に申し立てることはできない。

 

 

第二七二条第一段、第四段及び第五段の規定を準用する。

 

 

第二七六条(独立審査人)

最高裁判所総会が第二七六条第四段に基づく申し立てに対し手続きを取ることが相当である と判断した場合、最高裁判所総会は政治的に中立で誠実公正な者から独立調査人を任命するか、独立調査人の任命の代わりに第二五〇条(二)に基づく調査のため國家汚職防止取締委員会に送致することができる。

独立調査人の資格、権限義務、審査方法及びその他必要な件については法律が規定したところに従う。

独立調査人が事実関係の審査を終え、見解と共に調査結果をまとめた時、容疑に根拠があると判断すれば、第二七三条に基づく手続きのため参議院議長に報告と書類を見解と共に送付し、最高裁判所政治職者刑事訴訟部への告訴のために検事総長に調書と見解を送付する。ここに第二七二条第五段の規定を準用する。

 

第二七七条(訴訟審理)

訴訟審理において、最高裁判所政治職者刑事訴訟部は國家汚職防止取締委員会または独立調査人の調書を審理の基礎とし、必要に応じて事実関係及び証拠の調査を追加することができる。

最高裁判所政治職者刑事訴訟部の訴訟審理方法は政治職者刑事訴訟についての憲法付属法令に従い、第二一三条の規定を最高裁判所政治職者刑事訴訟部の職務遂行に準用する。

第一三一条に基づく衆議院議員及び参議院議員の身柄拘束についての規定は、最高裁判所政治職者刑事訴訟部の訴訟審理には適用しない。

 

第二七八条(判決)

判決は多数決により、法廷を構成する裁判官は全員が訴訟裁定における意見書を作成し、評決前の評議で陳述しなければならない。

最高裁判所政治職者刑事訴訟部の命令及び判決は公開し、第三段に基づく場合を除きここに確定する。

最高裁判所政治職者刑事訴訟部の判決を受けた者が、重要な事実関係の変更をもたらす新たな証拠を有する場合、最高裁判所政治職者刑事訴訟部の判決日から三〇日以内に最高裁判所大法廷に上訴することができる。

その上訴及び最高裁判所大法廷の審判の原則は、最高裁判所大法廷が定めた規則に従う。第一三章 政治職者と國の職員の倫理

第二七九条(倫理コード)

政治職者、公務員もしくは國の職員のそれぞれの倫理標準は定められた倫理コードに従う。

 

 

第一段に基づく倫理標準は効率的な適用のための実施メカニズム及びシステムを有していなければならず、行為の程度に基づく罰則段階を定めなければならない。

第一段に基づく倫理標準への違反もしくは不遵守は規律違反行為であるものとみなす。政治職者による違反もしくは不遵守の場合は、國会オンブズマンが國会、内閣、または関係する地方議会に報告し、重大な違反行為であれば第二七〇条に基づく罷免事由であるものとみなし、審査のため國家汚職防止取締委員会に提出する。

國権行使に係る地位に就任する者の審査、選考、選出もしくは任命、ならびにその者の異動、昇級、昇給及び処罰においては、道徳システムに従い、その者の倫理状況を考慮する。

 

第二八〇条(國会オンブズマンの権限)

本章に基づく実施に資するために國会オンブズマンは第二七九条第一段に基づく倫理コードの策定または修正において提言または助言し、政治職者、公務員及び國の職員が倫理面での意識を高めるよう振興し、監督責任者に第二七九条第三段に基づき倫理コードに従うよう監督させるため倫理コード違反のあった行為を報告する権限を有する。

倫理標準への違反もしくは不遵守が重大な形態にある場合、または責任者の行動が公正でないと信じられる相当の事由がある場合、國会オンブズマンはこれを調査し、調査結果を公開することができる。

 

第一四章 地方行政

 

 

第二八一条(自治原則)

第一条の適用下において、國は地域住民の意思に基づく自治の原則に基づき地域の独立性を付与しなければならず、地方行政体を公共サービス実施における主要機関とするよう、及びその地域の問題解決決定に参加するよう振興しなければならない。

自治が可能な状態の地域は、法律の規定に基づき地方行政体を設置する権利を有する。

 

 

第二八二条(監督)

地方行政体の監督は、法律の規定に基づき、地域住民もしくは國全体の利益を保護するために必要な限りにおいてこれをなし、地方自治体の形態に一致かつ適合した原則、方法及び要件を有し、地域住民の意思に基づく自治の原則を損なってはならず、あるいは法律が規定する範囲を超えてはならない。

第一段に基づく監督においては、各形態における地方行政体のサービスにおける発達度及び効率度の適性及び差異性を考慮することにより、地方自治体の必要性に基づいた業務決定における能力に影響しないよう地方行政体が自ら実行できるようにするための中央実施標準を有するようにし、住民に主眼においた業務の検査メカニズムを設置するよう支援する。

 

 

第二八三条(地方への行政権限分散)

地方行政体は地域住民のための公共サービスの監督及び実施において一般的な権限を有し、方針策定、運営、公共サービス実施、人事、金融・財政における独立性を有し、固有の職務権限を有する。このとき県及び國の全体としての開発との一致を考慮しなければならない。

地方行政体がしっかりとした独立運営基盤を有し、地域住民の需要に効率的に応え、職務権限に基づく公共サービスを全て実施できるように地方財政システムを開発し、地方行政体または地方行政体同士が住民サービスにおける採算性と利益をもたらし、あまねく住民サービスが実施できるように公共サービス機関を設置または合同設置できるように振興及び支援があるようにする。

各形態の地方行政体の能力差を考慮して、中央官庁及び地方官庁と地方行政体との間もしくは地方行政体同士の間の権限、収入配分の規定のため権限分散計画及びプロセスを定める法律があるようにし、検査・評価システムの規定があるようにする。ここに地方行政体を法律に従わせるための機関として同数の関係公務機関の代表、地方行政体の代表、及び有識者からなる委員会を設置する。

地方行政体の租税及びその他収入の徴収における権限を定めるために地方収入法があるようにする。このとき各種租税の形態、國の資源配分、地方行政体の権限義務に基づく支出に十分な収入の確保において相応しい原則があるようにする。ここに地方の経済開発段階、地方行政体の財政状況、及び國の財政持続に留意する。

権限義務規定及び地方行政体への収入配分がなされた場合、第三段に基づく委員会は職務権限の規定及びすでに実施された収入分配の適合性を再考するために、五年を超えない期間ごとに当該の件の見直しを検討する。ここに地方行政体への権限分散を増やすことを重要視する。

第五段に基づく実施は内閣から承認を受け、國会に報告した後に施行することができる。

 

 

第二八四条(地方議会と行政チーム)

地方行政体は、地方議会及び地方行政チームもしくは地方行政者を有していなければならない。地方議会議員は選挙により選出されなければならない。

地方行政チームもしくは地方行政者は、住民による直接選挙または地方議会の承認により選出される。

住民の直接投票による選挙で選出される地方議会議員及び地方行政チームもしくは地方行政者の選挙は、直接秘密投票方式による。

地方議会議員及び地方行政チームもしくは地方行政者の任期は一期四年とする。

地方行政チームもしくは地方行政者は、職位または月給のある公務員、あるいは官公庁、國の機関 、國営企業、地方行政体の職員あるいは被雇用者であってはならず、法律が規定する地位に反する報酬があってはならない。

地方議会議員、地方行政チーム及び地方行政者選挙の選挙権者及び被選挙権者の資格、選挙の原則及び方法は法律の規定に従う。

 

 

地方行政チームの全員が退任、もしくは地方行政者が退任し、暫定的な地方行政チームあるいは地方行政者を任命しなければならない場合は、法律の規定に基づき、第三段及び第六段の規定は適用しない。

本条の規定と異なる運営構造を有する特別形態の地方行政体を設置する場合、法律が規定するところに従いこれをなすことができるが、地方行政チームもしくは地方行政者は選挙によって選ばなくてはならない。

第二六五条、第二六六条、第二六七条、及び第二六八条の規定を地方議会議員、地方行政チーム、もしくは地方行政者に準用する。

 

第二八五条(住民の弾劾権)

地方行政体における選挙権を有する住民は、その地方行政体の地方議会議員、地方行政チームもしくは地方行政者が任に留まるべきではないと判断した場合、その地方議会議員、地方行政チームもしくは地方行政者をリコールするための投票権を有する。ここに住民の署名数、連名の原則及び方法、署名の検査、及び投票は法律が規定したところに従う。

 

第二八六条(住民の条例制定請求権)

地方行政体における選挙権を有する住民は、地方議会議長に対し地方議会が条例制定を審議するよう請求する権利を有する。

住民の署名数、連名の原則及び方法、署名の検査は法律の規定に従う。

 

 

第二八七条(住民参加)

地域住民は地方行政体の事業運営に参加する権利を有する。ここに地方行政体は住民参加の方法を策定しなければならない。

地方行政体の行為が地域住民の生活に影響を及ぼす場合、その行為の前に住民に詳細データを知らせなければならず、相当とした判断した場合、もしくは有権者からの請求を受けた場合は公聴会を開かなければならない。もしくは決定をめぐって法律の規定に基づき住民投票を実施することもできる。

地方行政体はその運営管理の検査及び監督への住民参加のために予算編成、支出及び業績について住民に対し毎年報告しなければならない。

第三段に基づく地方行政体の予算編成に第一六八条第六段の規定を準用する。

 

 

第二八八条(職員人事)

地方行政体の公務員及び被雇用者の任命及び解任は、それぞれの地域の適性及び必要性に従わなければならない。地方行政体の人事運営には一致した標準がなければならず、合同で開発を受け、人事交流を実施することができ、地方公務員人事の中央機関である地方公務員委員会から事前に承認を得なければならない。ここに法律の規定に従う。

 

 

地方行政体の人事においては、人事における道徳及び倫理保護システムを創造するために地方公務員の道徳システム保護機関を有していなければならない。ここに法律の規定に従う。

第一段に基づく地方公務員委員会は、同人数の関係官公庁代表、地方行政体代表、地方公務員代表及び有識者で構成しなければならない。ここに法律の規定に従う。

地方行政体の公務員及び被雇用者の異動、昇級、昇給及び処罰は法律の規定に従う。

 

 

第二八九条(地域文化保全の義務)

地方行政体は地域の善良な芸術、慣習風俗、伝統知もしくは文化を保全する義務を有する。地方行政体は、その地域内の適性及び必要に則して教育、職業研修を整備し、國の教育事業に

参加する権利を有する。このとき國の教育標準及び制度との一致を考慮する。

第二段に基づく教育整備において、地方行政体はその地域の善良な芸術、慣習風俗 、伝統知、文化の保全に留意しなければならない。

 

第二九〇条(環境保全)

環境の質の振興及び保全において、地方行政体は法律の規定に基づく権限を有する。第一段に基づく法律には少なくとも以下の主たる内容がなければならない。

(一)区域内の自然資源、環境の管理、保全及び利用。

(二)地域住民の生活に影響をもたらす場合に限り、区域外の自然資源、環境の保全への参加。

(三)地域の環境もしくは住民の保健に影響をもたらす場合に限り、区域外の事業計画あるいは活動の事前審議への参加。

(四)地域コミュニティの参加。第一五章 憲法改正

第二九一条(原則・方法)

憲法改正は以下の原則及び方法によってのみ、これをなすことができる。

(一)改正動議は内閣、または現有衆議院議員総数の五分の一以上の衆議院議員、または両院の現有議員総数の五分の一以上の衆議院議員及び参議院議員、もしくは法案提出連名についての法律に基づく五万人以上の選挙権を有する國民により提出されなければならない。

國王を元首とする民主主義制度統治もしくは國体の変更をもたらす憲法改正動議は提出することはできない。

(二)改正動議は改正憲法案として提出しなければならず、國会が三読会にわたり審議する。

(三)原則承認の第一読会の採決は公開の氏名点呼の方法により、その改正の承認には両院の現有議員総数の半数以上の票数を要する。

(四)条項審議の第二読会においては、改正憲法案提出のために署名した有権者の意見を聴く機会を設けなければならない。

 

 

第二読会の採決は多数決による。

(五)第二読会の審議が終了した後、一五日間が経過した時に國会は引き続き第三読会の審議をなす。

(六)最終の第三読会の採決は公開の氏名点呼の方法により、その憲法としての施行の承認には両院の現有議員総数の過半数の票数を要する。

(七)前述のように可決された時は、その改正憲法案を奏上し、第一五〇条及び第一五一条の規定を準用する。

 

経過規定

 

 

第二九二条(枢密院)

本憲法の公布日に在任している枢密院は本憲法の規定に基づく枢密院とする。

 

 

第二九三条(國会)

佛暦二五四九年タイ王國憲法(暫定版)に基づく國家立法議会は、第一二七条に基づく最初の國会会議が開かれるまで本憲法の規定に基づく國会、衆議院及び参議院の任務を果たす。

第一段に基づく期間中、本憲法もしくは他の法律で國会議長、衆議院議長または参議院議長が勅命に副署すると規定しているときは國家立法議会議長が勅命に副署する。

第一二七条に基づく最初の國会会議が開かれなければならない時に参議院がまだない場合は、本憲法に基づく参議院が発足するまで、本憲法の規定に基づく地位者の選定及び罷免を除き、國家立法議会が参議院の義務を果たす。当該期間中に國家立法議会がなした事業は参議院がなしたものとしての効力を有する。本憲法もしくは他の法律で参議院議長が勅命に副署すると規定しているときは國家立法議会議長が勅命に副署する。

第九三条、第九四条、第一〇一条、第一〇二条、第一〇六条、第一〇九条、第一一一条、第一一三条、第一一四条、第一一五条、第一一九条、第一二〇条、第一九七条第四段、第二六一条の規定、及び政治職者への就任を禁じた法律の規定は、國家立法議会議員には適用しない。

第一五三条の規定を國家立法議会の解散にも準用する。

 

 

第二九四条(憲法起草議会)

佛暦二五四九年タイ王國憲法(暫定版)に基づく憲法起草議会及び憲法起草委員会は、本憲法の公布日に解散する。

利害関係を排除するために憲法起草委員は第一段に基づき離任した日から二年以内に衆議院議員選挙に立候補する、もしくは参議院議員候補になることはできない。

 

第二九五条(憲法付属法制定)

國家立法議会は、憲法起草委員会から提出された衆議院議員選挙及び参議院議員選出について

 

 

の憲法付属法令案、政党についての憲法付属法令案、及び選挙委員会についての憲法付属法令案の審議を佛暦二五四九年タイ王國憲法(暫定版)に基づき定められた期間内に終了する。

第一段に基づく期間が経過しても國家立法議会が当該憲法付属法令案の審議を終えることができない場合、國家立法議会議長は、國家立法議会が当該憲法付属法令案を承認した場合と同様に、國王署名のため七日以内に憲法起草委員会が起草した当該憲法付属法令案を奏上する。

第一段に基づく政党についての憲法付属法令及び選挙委員会についての憲法付属法令が施行されていない間、当該憲法付属法令が施行されるまで、佛暦二五四一年政党についての憲法付属法令及び佛暦二五四一年選挙委員会についての憲法付属法令が適用される。

 

第二九六条(両院議員選挙)

本憲法に基づく衆議院議員選挙は第二九五条に基づく憲法付属法令案の施行日から九〇日以内に、本憲法に基づく参議院議員選出は第二九五条に基づく憲法付属法令案の施行日から一五〇日以内に終了させる。

本憲法公布日後の最初の衆議院議員総選挙において、被選挙権者は投票日までに三〇日以上、いずれか一つの政党の党員でなければならない。第一〇一条(四)(a)に基づく期間は一年以上とし、第一〇一条(四)(c)及び(d)に基づく期間は二年以上とする。

佛暦二五四〇年タイ王國憲法に基づく最初の選挙で参議院議員となった者が、本憲法に基づく最初の選出で参議院議員に就任することを禁じ、第一一五条(九)及び第一一六条第二段の規定は佛暦二五四〇年タイ王國憲法に基づく最後の選挙で参議院議員となった者には適用しない。

 

第二九七条(最初の選出参議院議員)

最初の任期において、選出を受けた参議院議員の任期は議員資格が始まった日から三年とし、二期連続の就任禁止に係る規定を当該人物が議員資格を失った以降の選出には適用しない。

 

第二九八条(内閣)

本憲法の公布日に國政を担当している内閣は、本憲法の規定に基づく内閣とし、本憲法に基づき新たな内閣が就任した時に退任する。

佛暦二五四九年タイ王國憲法(暫定版)に基づく國家安全保障評議会は本憲法の公布日に國政を担当していた内閣と共に退任する。

第一七一条第二段、第一七二条、第一七四条及び第一八二条(四)(七)及び(八)の規定は、本憲法の公布日に國政を担当していた内閣総理大臣及び國務大臣の就任と退任には適用しない。

 

第二九九条(独立機関委員)

本憲法の公布日にその地位にあった國会オンブズマンは本憲法の規定に基づく國会オンブズマンとし、任期が満了するまで任に留まる。任期は國王任命日から起算し、当該國会オンブズマンは本憲法の公布日から六〇日以内に互選により一人を國会オンブズマン長官に選出する。ここ

 

 

に第二四二条第二段及び第三段を準用する。

本憲法の公布日にその地位にあった選挙委員、國家汚職防止取締委員及び國家経済社会諮問議員は任期満了までその地位に留まる。任期は任命日から起算する。

本憲法の公布日にその地位にあった國家人権委員は本憲法の規定に基づき國家人権委員会が任命されるまでその地位に留まる。ただし当該委員が任命されてから本憲法の公布日までに一年が経過していない場合、本憲法に基づく最初の國家人権委員の任命において、その者に二期以上連続しての就任禁止に係る規定は適用しない。

本条に基づく者は、新たな憲法付属法令の制定もしくは本憲法に従わせるための新たな法律の制定、施行があるまで、憲法付属法令もしくは本憲法の公布日に施行されていた関連法律に基づき職務を遂行する。ただし本憲法の規定に反する規定がある場合、本憲法の規定を適用する。

 

第三〇〇条(憲法法廷)

佛暦二五四九年タイ王國憲法(暫定版)に基づく憲法法廷は本憲法に基づく憲法裁判所とし、最高裁判所長官の地位にある者を憲法裁判所長官、最高行政裁判所長官の地位にある者を憲法裁判所副長官とするが、佛暦二五四九年タイ王國憲法(暫定版)の第三五条に基づき選出された最高裁判所の裁判官または最高行政裁判所の判事は、本憲法に基づく最初の衆議院議員総選挙の実施後、衆議院議長及び衆議院野党指導者の任命日から一五〇日以内に本憲法の規定に基づき新たに憲法裁判所判事が選出されるまで憲法裁判所判事の地位に留まる。

第二〇五条(三)、第二〇七条(一)(二)及び第二〇九条(五)の規定を第一段に基づく憲法裁判所判事の就任には適用しない。

佛暦二五四九年タイ王國憲法(暫定版)の第三五条第二段、第三段及び第四段の規定は、憲法訴訟についての憲法付属法令が制定、施行されるまで効力を有する。

第一段に基づく憲法法廷が着手した訴訟もしくは事業は、本条に基づく憲法裁判所が受け継ぎ、本憲法に基づく憲法裁判所判事の任命があった時、その訴訟もしくは事業はその新たに任命され た憲法裁判所の権限下に移管される。

憲法訴訟についての憲法付属法令がまだ制定されていない間、憲法裁判所は審理及び裁定方法に係る規定を制定する権限を有する。ただし、当該憲法付属法令は本憲法の公布日から一年以内に制定しなければならない。

 

第三〇一条(國家会計検査委員会)

國家会計検査委員会及び國家会計検査院総裁の選出は、本憲法の規定に基づく最初の衆議院議員総選挙後に、衆議院議長及び衆議院野党指導者の任命日から一二〇日以内に実施し、本憲法に基づく選出による憲法裁判所長官がいない場合、選出委員会は現有委員により構成される。

國家会計検査委員会が不在の間、國家会計検査院総裁が國家会計検査委員長及び國家会計検査委員会に代わり権限を行使する。

 

 

第三〇二条(施行継続の憲法付属法令)

以下の憲法付属法令は本条に規定された要件下に施行を続ける。

(一)佛暦二五四二年國会オンブズマンについての憲法付属法令。ここに國会オンブズマン長官を本憲法付属法令の主務者とする。

(二)佛暦二五四二年汚職防止取締についての憲法付属法令。ここに國家汚職防止取締委員長を本憲法付属法令の主務者とする。

(三)佛暦二五四二年國家会計検査についての憲法付属法令。ここに國家会計検査委員長を本憲法付属法令の主務者とする。

(四)佛暦二五四二年政治職者の刑事訴訟についての憲法付属法令。ここに最高裁判所長官を本憲法付属法令の主務者とする。

佛暦二五四九年タイ王國憲法(暫定版)の施行日に公示施行されていた法令による憲法付属法令の改正は、本憲法に基づく憲法付属法令による改正であるものとみなす。

第一段に基づく憲法付属法令の主務者は、本憲法の公布日から一年以内に本憲法で規定されたところに従うよう憲法付属法令の改正を実施する。当該憲法付属法令に基づく主務者である地位者がまだいない場合、一年の期間はその地位者の任命日から起算する。

衆議院は本条に基づく憲法付属法令案を受け取った日から一二〇日以内にその憲法付属法令  案の審議を終え、参議院はその憲法付属法令案を受け取った日から九〇日以内に審議を終える。第一段に基づく憲法付属法令の改正もしくは不承認の決議は、各議会の議員数の半数以上の票

を要する。

選挙委員会は本憲法の規定に従うために國民投票についての憲法付属法令を制定する。ここに第三段、第四段及び第五段の内容を準用する。

 

第三〇三条(法律制定)

本憲法に基づく最初の総選挙後に國政を担当する内閣は、以下の件における法律の制定または改正を定められた期間内に終えるようにする。

(一)第四〇条、第四四条、第七節の人とマスメディアの言論の自由、第八節の教育の権利と 自由、第九節の國から保健サービスと福祉を受ける権利、第一〇節の情報を知る権利、第一二節 のコミュニティの権利についての規定に基づく権利行使及び自由の振興及び保護のための詳細  規定に係る法律、第六一条第二段に基づく消費者保護のための独立機関設置法、第七八条(七) に基づく政治開発会議についての法律、第八一条(四)に基づく司法プロセス改革のための機関 設置法、第八七条(四)に基づく文民セクター政治開発基金設置法、第二五六条に基づく國家人 権委員会についての法律は、第一七六条に基づく國会での施政方針演説日から一年以内に終える。

(二)学校外教育制度、任意教育、自己学習、生涯教育、コミュニティ大学もしくはその他の形態における教育振興による第八〇条に基づく國の教育開発のための法律、基礎教育の全段階の教育制度に適合及び一致した教育整備の責任機関を定めるための法律は、第一七六条に基づく國会での施政方針演説日から一年以内に終える。

 

 

(三)少なくとも内閣と國会間のバランスを取った検査があり、透明で効率的、國民参加のある条約締結のプロセスおよび方法に係る詳細、条約施行のいずれかの期間においても國益と研究者の利益が相反しない条約交渉前の独立した調査研究に係る詳細を有することによる第一九〇 条第五段に基づく法律は、第一七六条に基づく國会での施政方針演説日から一年以内に終える。

(四)第八六条(一)及び第一六七条第三段に基づく法律は、第一七六条に基づく國会での施政方針演説日から二年以内に終える。

(五)本憲法の規定に従わせるための地方行政体への権限分散計画及びプロセスを定める法律、地方収入法、地方行政体設置法、地方公務員に係る法律、及び第一四章・地方行政に基づくその他の法律は、第一七六条に基づく國会での施政方針演説日から二年以内に終える。ここに地方法典として制定することもできる。

本憲法の公布日前に制定された法律が本憲法の規定に従った内容を有することが明らかな場合、本条に基づく遂行を免除する。

 

第三〇四条(倫理コードの制定)

第二七〇条に基づく倫理コードの制定は本憲法の公布日から一年以内に終える。

 

 

第三〇五条(一部条項の適用猶予)

以下の規定は以下の要件下で適用しない。

(一)第四七条第二段の規定は、國会での施政方針演説日から一八〇日以内に周波数配分及びラジオ放送、テレビ放送及び通信事業監督義務を果たす機関設置の第四七条に基づく法律が制定されるまで適用しない。当該法律には少なくともラジオ放送、テレビ放送事業監督、及び通信事業監督義務を果たす別個の部署としての特定委員会をその機関内部に有する内容、事業監督及び保護の詳細、通信資源開発基金設置、公共マスメディア運営における國民参加に係る詳細がなければならない。ただしここに本憲法の公布日前に合法になされた免許、事業権または契約には、その免許、事業権または契約が効力を失うまで影響を及ぼさない。

(二)第二九六条の規定下に、第一〇二条(一〇)の参議院議員だった者に係る部分、第一一五条(九)及び第一一六条第二段の規定は、本憲法に基づく最初の衆議院議員選挙及び政治職者には適用しない。

(三)第一四一条の規定は第二九五条に基づく憲法付属法令の制定に適用しない。

(四)第一六七条第一段及び第二段、第一六八条第九段の規定、第一六九条のすでに支払った支出を補填するための収入源の規定、及び第一七〇条の規定は、本憲法の公布日から一年以内には適用しない。

(五)本憲法の公布日前になされた条約に基づく制定または実施に係る事業はこれをなすことができ、第一九〇条第三段の規定は適用せず、第一九〇条第三段の規定は進行中及び将来の条約締結に適用する。

(五)第二〇九条(二)の規定は本憲法の公布日に在任中の國家人権委員会には適用しない。

 

 

(六)第二五五条第五段及び第二八八条第三段の規定は本憲法の公布日から一年以内には適用しない。

 

第三〇六条(六〇歳以上の裁判官)

佛暦二五五〇年予算年度に満六〇歳に達した最高裁判所裁判官以上の地位に就いたことのある最高裁判所の裁判官は、上級裁判官の職務遂行の原則規定に係る法律が改正されるまで、第二一九条に基づき最高裁判所において上級裁判官の職務を遂行することができる。

本憲法の公布日から一年以内に、司法裁判所の裁判官が七〇歳まで任に留まらせる原則を定める法律を制定し、二〇年以上にわたって職務を遂行してきた満六〇歳に達する司法裁判所裁判官は、職務遂行における能力評価をパスすれば、就任時を上回らない地位において裁判所の上級裁判官の地位への就任を申請できる。

第一段及び第二段に基づき制定される法律には、いずれかの予算年度において満六〇歳以上になる者が当該法律の施行日から最初の一〇年において毎年段階的に、就任している地位から順に退任し、継続して上級裁判官の地位への就任を申請できる規定がなければならない。

第二段及び第三段の規定を検察官にも準用する。

 

 

第三〇七条(司法裁判所法務委員)

本憲法の公布日に在任中の司法裁判所有識者法務委員は引き続き有識者法務委員として任に留まる。ただし佛暦二五五〇年予算年度に満六〇歳に達した有識者委員、及びいずれかの段階の裁判所の有識者委員でその段階の裁判所から異動した者はその限りではない。ここに本憲法の公布日から一八〇日以内に退任する。

 

第三〇八条(法律改革委員会

本憲法の公布日に國政を担当している内閣は、本憲法の公布日から九〇日以内に独立機関である法律改革委員会を設置する。当該委員会は本憲法の規定に従うため制定が必要な法律の制定を研究及び提言する任務を有し、本憲法の公布日から一年以内に第八一条(三)に基づく法律改革のための機関設置法を制定する。当該法律においては少なくとも選挙権を有する國民の法律起草支援義務を規定しなければならない。

第一段に基づく遂行は、その責任内において法律を制定する義務を有する他の機関の職務権限を損なわない。

 

第三〇九条(クーデタ体制下の施策に対する訴追不可)

佛暦二五四九年タイ王國憲法(暫定版)で保障された一連の事業は合法及び合憲であり、本憲法の公布日の前または後であってもその場合に係る行為は本憲法に基づき合憲であるものとみなす。

 

 

勅命副署人

ミーチャイ・ルチュパン國家立法議会議長

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